無知な怪物

munikisu

第1話

 引き裂いた腹からは年端もいかない少年が胃液に包まれて吐き出された。肌はただれ崩れそうになっている。私はそれをなけなしの布で隠し少年を担ぎ運んでいった。



 山の上では月は物言わぬ盆となり、少年のしなびた両手足には羽虫が強かに集る。毎夜増す死体臭が夜風に揺られ霞んだと思うと八分咲きの桜が彩られた。

「'ろ35%◇6…」

運び続け三日の晩、少年が目を覚ました。


 山道の獣を考えると運んだほうが安全だと判断し、少年を担ぎあげる

しかし少年は

「8#ろ!1ろ÷!!」

と喚いて私の背から落ちようとするので、何度か気絶させるしかなかった。

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