第41話:最強ツインズ vs デスゲーム名門校

「第8回チームバトルトーナメント。グランドファイナル2日目、準決勝第1試合の時間がやって参りました。実況は声本 洋介。そして、」

「解説は私、UNDEAD CHAMPSリーダーの音黒 真が務めさせて頂きます」


 グランドファイナル2日目の正午を前にして、会場中央のステージ上に準決勝第1試合を戦う参加者たちが転送されてきた。




「今年は5連覇していたUNDEAD CHAMPSがまさかの予選敗退ということで、本当にどこが勝つか予想がつかなくなっております。音黒的にはどのチームが優勝しそうでしょうか?」

「やはりshadow attacksですかね」


 音黒は自分たちのクランを倒した重影たちのクランを挙げる。


「同じ第四大陸というのもあるんですが、打倒UNDEAD CHAMPSという藤見中学ですら達成出来なかった偉業を成し遂げたクランなので、このまま優勝まで行って欲しいですね」

「お、藤見中学という名前が出ましたね。強豪クランを次々に蹴散らして数ヶ月で解散した伝説のクラン。なんと本試合、両方のチームに元藤見中学の1級異能力者が所属しております。それでは早速、参加者の皆さんをフィールドに転送致しましょう!」








 周囲360°を観客席に囲まれたステージ上には「八百万の獣獣もふもふ」と「海元かいげん高校ビーチバレー部」のメンバーたちが向かい合うように整列している。


「まさか本当にここまで来るとは思ってなかったよ。向葵ちゃん、結月ちゃん」


 転送のカウントダウンを聞きながら、海元高校の水鳥 雫は目の前にいる笛野姉妹に声を掛ける。


「ああ。私も戦えて嬉しいよ、雫」

「もし私たちが勝ったら、奈瑠ちゃんは私が貰うからね」

「いや開始前から怖がらせるのやめて?」


 両チームの参加者たちは一旦フィールドに転送され、直後に控えの参加者がステージ上に戻ってきた。








「試合開始まで60秒、それでは準決勝第1試合を戦う両チームの情報を見ていきましょう。まずは中央大陸代表、八百万の獣獣から」


 ここで、中央のモニターに八百万の獣獣の異能力の概要が表示された。



八百万の獣獣(異能力、階級)

・笛野 結月(身体能力向上、1級)

・笛野 向葵(身体能力向上、1級)

・八刀島 凛(分身、3級)

・北鍋 牡丹(獣使い、4級)

・霧峰 柏太(霧使い、4級)

・ーーーーー


複合異能力:未使用



「結成直後ながら最も過酷と言われている中央大陸の予選を突破し上がってきた新設クラン。準々決勝では最強ツインズの笛野姉妹だけでなく、支援サポーターたちの攻撃能力も光りました」

「そうですね。中央大陸の予選は毎年20人近い1級異能力者が参加を表明していて、そんな中を勝ち上がって来たということで注目度が最も上昇したクランの1つで間違いないですね」

「対します南大陸代表、海元高校ビーチバレー部の情報を見ていきましょう」


 続いて、海元高校ビーチバレー部の異能力の概要が表示された。



海元高校ビーチバレー部(異能力、階級)

・水鳥 雫(水使い、1級)

・藻部山 日和(瞬間移動、1級)

・津和崎 徹(回転操作、2級)

・大橋 雷斗(雷使い、3級)

・江上 奈瑠(分身、3級)

・尾近 椿(植物使い、3級)(控え)


複合異能力:未使用



「2組のツーマンセルを軸にした編成で有名なデスゲームの名門校。こちらも初の優勝を狙っております」

「一昨年までいた代が強くて卒業後に弱体化すると思われていたんですが、元藤見中学の水鳥が入りまして去年ベスト8。今年は藻部山も加わって更に総力を上げてきたという感じですね」

「レジェンドクラン藤見中学の元メンバー同士の激突、果たしてどちらに軍配が上がるのでしょうか! 準決勝第1試合、開始まで残り10秒です!」


 参加者たちの情報を映していたモニターはフィールドに切り替わり、両チームの様子が映し出された。







『5…4…3…2…1…』


 森林に囲まれた小さな草原で、八百万の獣獣のメンバーたちがバトル開始の合図を待っていた。


「ここなら大丈夫かな」

「何してんだよ」

「いや、昨日のトラウマが」


 リーダーの笛野 結月は、近くにあった岩に隠れるように身を縮めている。


「まあ可能性がゼロとは言わないけどさ」

「おいらもどっか隠れようかな」

「余計なことせんくて良い。それより、始まったら周りに霧を頼む」

「任しとけや」


『開始』


 バトル開始の合図と共に霧峰 柏太は異能力「霧使い」を発動して霧を発生させ、草原の周囲を高さ2メートルほどの霧で囲う。


『ザァァァーー』


 微かに水の音がした方を見ると、木々の向こうで巨大な水の塊が盛り上がっていくのが見える。


「あれが水鳥の防壁か」

「いつも通りって感じ? 腹立つね」


 笛野 向葵は武器の日本刀を抜き、水の塊に向かって歩き出す。


「私が水の防壁に穴を空ける。中に獣の群れを放って様子を見るぞ」

「了解〜」

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