第7話:最初の脱落者
ルール:
・4級または5級異能力者30人によるバトルロイヤル
・勝利条件は最後の1人まで生き残ること
・武器は運営から配布(長剣、ナイフ、クロスボウから1つを選択)、それ以外の武器は持ち込み禁止
・フィールドは周囲30kmほどの無人島
・参加者が死亡する度に、死亡した参加者の名前と残り人数が2分遅れでアナウンスされる
・誰も死亡しない状態が1時間続いた場合は、その時点での殺害人数が最も少ない参加者の中からランダムで1人が突然死する
・複合異能力の使用は可とする
――――――――――――――――――――
「それではバトルロイヤル開始です!」
(30人を島中のランダムな位置に一斉転送ってすげぇな。なんか上の級の大会っぽい)
重影 翔は普段と違うデスゲーム開始に興奮しつつ、目の前に現れたナイフに手を触れる。このナイフは運営が用意した武器から重影が選択したものである。
(武器が持参じゃなくて運営から配布ってのは5級と同じか。まあ武器持参だと重課金対決みたいになっちまうからな)
重影が転送された先は岩場のような場所だった。微かに波の音が聞こえるため海が近いようである。
(もう戦っていいんだよな)
重影は近くの大きな岩に飛び乗る。岩の向こうには砂浜が広がっていた。
(砂浜ってことは無人島の南側か。とりあえず他の参加者は居なさそうだ)
砂浜は目立つ上に素早い動きを取りづらいため、一旦内陸に向かうことにした。しばらく進んだ所で他の参加者の匂いを嗅ぎつけた。
(この匂いは……事前予想20位の
重影は他の参加者が通った匂いを嗅ぎつけて追跡、嗅ぎつけた相手が強敵の場合は別の方向に逃げて距離を取るなど、優れた嗅覚を活かした立ち回りを得意としている。
(開始前ギリギリまで会場内を歩き回って、すれ違った参加者たちの匂いを片っ端から覚えておいた甲斐があった)
しばらく進むとクロスボウを持った1人の男を発見した。
(
花原は何か発見したのか、屈んでクロスボウを構える。彼の視線の先に金髪の少女がいるのが見えた。
(あれは事前予想9位の
花原がクロスボウの矢を発射するのと同時に取野が振り向いて花原に気付いた。そのまま矢が命中するかと思われたが、取野は異能力で手元に盾を出現させて矢を防ぐ。
(おお、異能力「取り寄せ」か、珍しいな。初めて見た)
取野の異能力「取り寄せ」は遠くにある自身の所有物を手元に一瞬で持ってくる能力である。そして次の瞬間、彼女の手元にマシンガンが出現した。
(え?)
『ダダダダダダダダダッ!』
花原は異能力を発動して防ごうとしたが間に合わず、銃弾に貫かれた。
(ウッソだろおい)
ちなみに異能力による武器の調達は持ち込みとは異なる扱いになるため、今回のルールでは反則とはならない。
(取り寄せで持ってきたってことはあの銃は元々持ってるものってことだよな。金持ちが)
そんなことを考えていると、取野と目が合った。
(あ、ヤバい)
『ダダダダダダダダダッ!』
(ああヤバいっ! ヤバいヤバい!)
後ろから銃撃を受けながら、重影は全速力でその場から逃走した。
重影が花原の脱落を目撃している頃、数百メートル離れた場所でも動きがあった。
「ここ、どこだ?」
5級異能力者でデスゲーム初参加の
「お、誰かいる」
他の参加者を見つけた霧峰は木の陰から様子を伺う。クロスボウを持った中学生くらいの黒髪の女の子、どこかの学校の制服を着ている。
「え、ほんとに殺っていいんよな。なんか緊張してきた」
しかし、後方から別の気配を感じ振り向くと、2人の少女がクロスボウをこちらに構えていた。2人とも最初に見つけた少女と全く同じ外見をしている。
「んぇぇぇ!?」
「この世に言い残すことはあるか? 霧使い」
「お嬢ちゃん落ち着こう。話せば分かる」
『ダダダダダダッ』
「「………………」」
(じゅ……銃声!?)
(まさか異能力で調達したのか。今回は強敵が多そうだとは思っていたが。私の異能力でも銃相手だと分が悪いな。それなら……)
「マシンガン怖いし共闘しない?」
「あ、共闘するか?」
「共闘しよっかー。おいらは霧峰 柏太だ、よろしくな」
「私は
こうして、霧峰 柏太と八刀島 凛の共闘が成立した。
「花原 亮平、脱落。残り29名」
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