見てるこっちが怖いデスゲーム
キタナベ
チュートリアル編 + 前日譚
第1話:重影 翔
ルール:
・4級異能力者30人によるバトルロイヤル
・勝利条件は最後の1人まで生き残ること
・武器は持参、ただし銃火器や爆発物は持ち込み禁止
・フィールドは周囲20kmほどの無人島
・参加者が死亡する度に、死亡した参加者の名前と残り人数が2分遅れでアナウンスされる
・誰も死亡しない状態が1時間続いた場合は、その時点での殺害人数が最も少ない参加者の中からランダムで1人が突然死する
・複合異能力の使用は可とする
――――――――――――――――――――
「
フィールドの無人島に放送が響き渡る。
(クラスメートの女子を躊躇せず手に掛けるなんて俺もデスゲーマーらしくなったもんだな。ともかくこれで俺以外の上位組は全滅。優勝が見えてきたな)
そんなことを考えながら、事前予想2位の
開始から約4時間、重影は積極的に動き回り、異能力「重力操作」を活かした接近戦で他の参加者たちを次々に殺害していた。30人いた参加者も現時点で3人まで減り、バトルロイヤルも終盤である。
(あとは俺を除けば雷使いの閃田と食材生成の梨木だけ。折角だし俺史上最高記録の10キル取りに行くか)
フィールド内にまだ行っていないエリアがあるため、ひとまずそこに向かうことにした。
(見つけた)
他の参加者を発見した重影は背中の両刃剣を抜くと慎重に様子を伺う。森に囲まれた平坦な草原が広がっており、その中央辺りに1人の男が立っていた。
(あれは事前予想17位の
濃紺と黄色を基調とした戦闘服を着た男、閃田 祐一は右手に長弓を持ち、周囲を警戒している。
(見晴らしの良い場所で接近される前に仕留める作戦ってところか。上等だ)
接近戦を得意とする重影は異能力で自身の重力を操作すると、高速で閃田に接近した。
「来たな、ラスボス」
「お前で10キル目頂きじゃあ!」
「怖っ」
重影に気付いた閃田は弓を構えると同時に異能力を発動させ、上空に小さな雷雲が姿を現し始めた。
(雷使いの遠距離攻撃は強力だが、大抵は攻撃を放つまでに最低でも数秒掛かる。矢も1本なら躱せる!)
重影は異能力をさらに強めて急激に加速すると、飛んできた矢を躱して一気に距離を詰める。
「遅ぇよ! おりゃっ!」
「くそっ!」
閃田は飛び退いて距離を取ろうとするが、重影が追い付き両刃剣で首を切断した。
『ドーーン!!』
狙いが逸れた雷は重影の遥か後ろにある木に命中し、炎を上げ始めた。
「よし、これであと1人を殺して俺の勝ちだ。梨木もいるとしたらこの辺だと思うんだけどな」
微かな視線を感じた重影が振り向くと、木の陰から少女がこちらを見ていた。戦闘服というよりは私服に近い服装で、腰に小型のナイフを装備している。事前予想で30人中30位、異能力「食材生成」の
「見つけたぁ!」
重影は梨木にたちまち追い付くと、異能力を乗せた剣撃で彼女の体を両断した。
「おっしゃ俺の勝ちぃ! やっほぉぅぅぅぅぅ!!!!」
『ヒュッ』
次の瞬間、どこからか飛んできた矢が重影の首を貫いた。
「え……なん……で……」
何が起きたのか分からず、重影はその場に倒れ込んだ。
「重影 翔、脱落。残り2名」
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