ええっ、後ろで全てを支えている俺を追放ですか!?~強化魔法の才能がチートレベルなのにパーティを追放された俺、後悔してももう遅い~
きてらい
最後の会話
やあ、突然酒場に呼び出してすまないな。
今日はパーティのリーダーとして重要な話があるんだ。
他のみんなはどうしたのかって?
うん……いやすまない。
単刀直入に言えば、お前にはパーティを抜けてもらうことにした。
追放?
そうだな……取り繕っても仕方ない。そんな感じのものだ。
お前なしでこのパーティが成り立つのかって?
その通りだ。成り立たない。
きっとまともに戦えない。
だからこそなんだよ。
このパーティは現状、あまりにもお前への属人性が高くなりすぎている。
「後方支援だから」と言って軽視してるやつもいそうだがな……
そうだ。お前がいなければ俺たちは、ドラゴンどころかオークの群れにすら手を焼くだろう。
一度、リザードマンとの戦闘中にお前が倒れたことがあったな?
他のメンバーはいつも通り余裕で勝ったと思っているが、
あの時はお前の強化術が切れた時が命の切れ目だと思って戦ったよ。
だが誰もそれを自覚していない。
これがこのパーティの危うさだ。
何度かメンバーに言って聞かせたが、なしのつぶてだ。
そうだ。お前がいる限り、俺たちは適切なレベル帯で修行を積むことはできないんだ。
ああ、責めてる訳じゃない。
これは不幸な事故だ。
お前が努力していたのは知ってる。
いや、直接見たわけじゃないが、その魔法の練度を見れば分かる。俺の目は節穴じゃないさ。
俺達は、それに甘えてしまっていた。
この歪な状況を招いたのはリーダーである俺の責任に他ならない。
心から謝る。
退職金もたっぷり出す。
他に、解決策が思いつかなかったんだ。
簡単な数字の話をしよう。
10×2は20。
2×10は20。
足すと40だ。
一方で10×10は100。
2×2は4。
足すと104だ。
さっきの倍以上だな。
分かるか?
10がお前、2が俺達だ。
お前は、10の仲間を探すべきなんだよ。
俺はお前を尊敬している。
だからこそ、一緒にやっていくことはできない。
ああ、もちろん私的に会うのは構わないよ。
愚痴や悩みもあれば聞くさ。
ただ、冒険者パーティとしてはもう別れよう。
辛いが、これがリーダーとしての俺の選択だ。
なに?次の所属先はどうすればいいかって?
ハハハ、冗談キツイぜ!
それくらいお前なら訳ないだろう?
短期的に見て、俺達は今までのようには立ち行かなくなるだろうが、お前はどこでもやっていけるさ。
ちゃんとその能力と実績をアピールして、必要な書類をギルドに提出すればな。
そこまでの能力を身に着ける努力に比べれば、何の造作もないことだろう?
控えめなのはお前の悪いところだ。寡黙だから、皆お前を軽んじているが、俺はお前が誰よりも能力があることを知ってる。いくらでも誰かと組んで活躍できるに決まってるさ。
じゃあ長話もなんだしな。俺達はまたイチから鍛えなおすことにするぜ。
今後の活躍を祈るよ。
ええっ、後ろで全てを支えている俺を追放ですか!?~強化魔法の才能がチートレベルなのにパーティを追放された俺、後悔してももう遅い~ きてらい @Kiterai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます