EP025:ストームザウルス大作戦!

 メガロビア軍港で艦隊は壊滅した。


 残されたメガトンザウルスとハイメガザウルスを使って、改造FBが誕生している。


 ストームザウルスだ。


 メガトンザウルスの野生と、ハイメガザウルスの最新兵器が組み合わされた改造FBは、パワーアップして帰ってきた。


 今度は水上戦から陸上戦を重視だ。


 ただし、十分に巨大で、空母や戦艦となったハイメガザウルスは改造を受けていない。


 もっと小さくて軽い個体たちが選ばれた。


 地上で、空母型を歩かせるのは、大変だ。


 そんな改造されたストームザウルスは、ムカデルたちと陸上艦隊としてチームをくむ。


 ムカデルたちと協力して、もっと、火力があがったということだ。


 大湿地帯の緑の迷彩──風景と似たもようで発見されにくくなるんだ──をした、ストームザウルスとムカデル。


 大陸各地で大繁殖しているツーツー部隊のせいで、空戦FBは飛行禁止になっている。


 背の低いムカデルだけで敵を見つけるのは難しい。


 首の長いストームザウルスの登場は、ムカデル地上艦隊にとってありがたい話であった。


 ストームザウルスのキャプテンである、ファリザード大佐は双眼鏡を手にしながら警戒する。


 ムカデル乗りの話では、湿地帯には手強い敵がいるのだ。


 巨体のムカデルだが、ムカデ型らしく背が低い。


 地上を這うようにたくさんの足を使うのだ。


 それが良いこともあるが敵の発見が遅れる。


 湿地帯を超えるムカデルを襲う敵は、弱点をついてくるのだという。


 ストームザウルスの、ムカデルより遥かに高い頭から湿地帯を見渡す。


 キラキラと陽の光を反射する湿地で、敵を見つけた。


 ドス・ゲイターとガリオニクスマークⅡだ。


 新帝国軍外人部隊のFBは、艦隊を見つけるや、湿地を滑るようにしのびよってくる。


 どうやら艦隊は捕まったらしい。


 足は、新帝国軍のFBのが速い。


「対FB戦よーい」


 ドス・ゲイターとガリオニクスが、背の高い草に隠れているが、揺れているのが丸見えだ。


 小柄なスーパーザウルスとはいえ、地上では巨大な、ストームザウルスをあやつる。


 主砲である艦用のバスター砲──海に浮かぶことが前提なので、とても重い──の砲身を短くしている。


 砲身が短いぶん、最大装薬は減った。


 装薬の代わりに砲弾が増えた弾薬庫では、忙しくクルーが動く。


 チームワークが大切だ。


 焦るだけでは、ストームザウルスは十分な戦力をみせられない。


「キャプテン、装填完了です」


「キャプテン、距離調整済みです」


 そして、戦隊を組んでいるすべてのFBの準備が終わる。


「艦隊、いつでも始められます」


「砲撃を開始せよ」


 伝達された命令が復唱されかけめぐる。


 やや遅れて、大湿原をふるえさせる巨砲が次々と火を吹くのであった。


 砲撃の音に驚いた敵部隊が足をとめる。


 命とりとなった。


 敵部隊のど真ん中に、バスター砲があたり、直撃したガリオニクスマークⅡは消し飛び、近くのFBも吹き飛ばされた。


 何十という土煙の柱がのぼっている。


「これで逃げてくれればよいが…………」


 蹴散らされる敵をみる。


 敵は、突撃を選択した。


 ストームザウルスの首は目立つ。


 あっという間に距離を詰めてくる敵のドス・ゲイター。


 ムカデルの主砲が水平の角度にまでねる。


 地上とへいこう、まっすぐに飛ぶ砲弾をかんいっぱつでかわした敵ドス・ゲイターは、ムカデルへ飛びかかる!


 土と水をまき散らしながらのジャンプ。


 空中のドス・ゲイターは、次の瞬間、はりねずみのようなマシンガンたちの激しい攻撃に撃破された。


「近接格闘戦よーい!」


 乱戦がはじまる。


 ストームザウルスの大きな体がガリオニクスマークⅡに、のしかかる!


 いかに巨大になったとはいえ、ストームザウルスは簡単に止められるものではない。


 ストームザウルスの活躍でまだ一機、マークⅡが倒れた。


 だが敵だってやられっぱなしではない。


 マークⅡが超スピードでストームザウルスの背後にまわると弱点の長い首──そして比較的細い!──に向かって集中砲撃をしてきた。


 このままでは破壊されてしまう!


 ストームザウルスはなんとかマークⅡを倒そうと長い尻尾を振りまわす。並みの中型FBはおろか、大型FBでさえ致命的になるような一撃が地面を砕く!


 外れた。


 マークⅡの機動力は圧倒的だ。


 ストームザウルスがどれほど首を回そうとも、マークⅡはそれ以上の高速でほんろうしてくる。


 ばんじきゅうすか!?


 だがそこへ、何十機もの新帝国軍FBを倒したガミュラズが到着したぞ。


 あの、囮になっていたガミュラズだ。


 ボロボロのガミュラズは、最後の力を振り絞ってマークⅡへと体当たりする。


 油断していたマークⅡはバランスを崩して倒れる。


 それはほんの一瞬の隙だった。


 だがストームザウルスが振り向き、外人部隊FBを何百と踏み砕いた足裏の影が、コクピットに落とされるには十分な時間であった。

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