【怪談実話】短編怪談「幽霊、触ったことありますか?」

有野優樹

“出る”お化け屋敷

「幽霊触ったことありますか?」


松山さんという方からX(旧Twitter)のダイレクトメッセージを通してご連絡を頂いた。このような冒頭から始まる文章。もちろん、幽霊を触ったことなんてない。


これまで何度か体験談をお寄せ頂いたことがあるのだが、はじめての書き出しだったので、正直とてもワクワクした。




昔、松山さんが友達と後楽園にあるお化け屋敷に行ったときのこと。


その当時、そこのお化け屋敷は“出る”と噂になっていた。その噂のせいもあってか松山さんは友達にピタリとくっつきながら歩き、ほぼ周りは見ていなかったという。


作りが古い暗い道を進んでいくと、日本人形がたくさん置いてある“人形の部屋”に入って行くことになった。どの日本人形もこちらを見ているようで気味が悪い。


人形の部屋を出るとまた古くて暗い道が続いている。その道を進んでいくと、とあることに気がついた。


「私にくっついている子供がいたんです」


なんで子供がひとりで?と思いながら後ろに手をやると、スベスベとした子供の肌とサラサラした髪にしっかりと触れたのだ。


「私の身長が150センチで少し腰がひけていたので、その子は100センチもなかったと思います」


友達に「子供がいる!!!」と言ったのだが信じてもらえず、そのままお化け屋敷を出ることになった。


出たあとしばらく観察をしていたのだが、その子が出てくる様子はない。迷子だったとしたら保護者や誰かが探しにくるだろうがその雰囲気もなく、出てきたお客さんに子供がいなかったか?と聞いたら


「こんな子は見なかった」


と言われてしまったのだという。


人が驚かせてくるタイプのお化け屋敷だったが子供を演者として雇うとは考えにくく、仮にそうだったとしてもお客さんに触れることはNGなのでありえない。


「結局、正体がわかりませんでした。なんだったんでしょうね。もしかしたら胡散臭いと思われてしまうかもしれませんが、ちゃんと本当の話です。このお話がお役に立てば幸いです」


筆者は金縛りにあった経験がある。その際、声が聞こえてきたり触られたことはあったが、自分が触ったことはない。


幽霊というのは(イメージで)透けていて触れることはできないと思っていたが、何かきっかけがあると触れる事ができてしまうのかもしれない。


(※仮名を使用しております)

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【怪談実話】短編怪談「幽霊、触ったことありますか?」 有野優樹 @arino_itikoro

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