恋愛は断固拒否ですわ!〜恋愛経験ゼロの私が学校の恋愛に巻き込まれる!?〜

泡沫 愛華羽

プロローグ

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 ⸻


 初夏の風がそよぐ、この季節――私は、告白をされていた。


「如月さん、好きです!付き合ってください!」


 男子が頭を下げ、手を差し出してくる。

 私は表情を崩さず、髪を耳にかけて答えた。


「ごめんなさい……今は、弓道部の県大会前で、部活に集中したいので……」


 ありきたりな言葉。完璧な断り方。

 男子は少しショックな受けたような顔をしつつも、無理に笑顔を作って言った。


「如月さん、県大会……頑張ってください!応援しています!」


 そうして彼は少し肩を落とし、去っていった。


 ……で、私はというと。


「はあ〜……なんとか、如月愛華という“クールで才色兼備なわたくし”のキャラは守られましたわー……ってか、今の男子と一度も話したことないんだけど!? 名前も知らないし! まあ、この見た目だから仕方ないか〜」


 黒髪ストレートロングにくっきり二重。スタイルはモデル級。

 そう、私は――正直モテる。モテまくっている。


 だが、恋愛は断固拒否だ。


 なぜなら、恋愛にうつつを抜かして、成績が落ちたり、部活をサボったりする人を私は何人も見てきた。

 本当にくだらない。そんなものに振り回される時間があるなら、未来の自分のために使うべき――でしょ?


(……まあ、それだけが理由じゃないけど)


 ふと、頭をよぎるのは、両親が言い争うあの光景。

 声を荒げ、冷たく睨み合うふたりの顔が浮かんで、私はそっと眉をひそめた。


「私は高校三年間――絶対に恋愛をしない。安定した収入を得るため、勉強一筋で頑張るの!」


 そう心に誓った、そのとき――。


 びゅうっ!!


「きゃっ! もうっ、髪型が崩れるじゃない!」


 強い風に吹かれて、思わず声を上げてしまう。

 誰もいないと思ってちょっとテンション上がってたのに、普通に男子が後ろを通っている!?うそ、今の聞かれてた!?


(落ち着いて、愛華。冷静な如月愛華を演じるのよ……!)


 そう言い聞かせながら、教室へ戻ろうとした――そのときだった。


 後ろを通っていた男子と、目が合った。……え、なぜかこっちに来てる!?


「如月さん!! やっと見つけた!恋愛相談にのって〜!」


 ――見知らぬ男子が、キラキラした目で私に駆け寄ってきた。


 え? ちょっと待って……なに? えっ、なんで私??

 ねえ、わたくし、恋愛断固お断りですわよッ!!!

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