ルーズベルト亡き世
エトーのねこ
第1話:ルーズベルト憤死
1936年11月3日。アメリカ合衆国の大統領は共和党のアルフレッド・モスマン・ランドンに決定した。その結果……。
「11/4のニュースの時間がやって参りました。前大統領であるフランクリン・ルーズベルト氏が自宅で遺体として発見されたそうです。では、次のニュースです……」
ルーズベルトが自宅で遺体として見つかったのは、翌朝未明のことであった。胸を押さえて目を見開き、検死の結果高血圧による急性心不全であることが判明した。それは見る人が見れば憤死だと解るだろうが、元々高血圧な上に小児麻痺で有名な人物であり、特に見るべき所見もなく自然病死であるとして処理された。それは三面記事にもならず、1940年の東京オリンピックが行われる頃には既に「忘れ去られた人物」ですらあった……。
そして、そんなニュースなど吹き飛ばすが如き電撃的ニュースがその月には舞い込むのだった。自然、ルーズベルトとかいう景気回復に失敗した無能などの存在など、誰も顧みることなどなかった。
そして間の悪いことに、アルフレッド・ランドンが事実上世界恐慌から経済状況を立て直したのだから、ルーズベルトなどという存在は唾棄すべき無能として処理されることになった。結果論から言って、当然ではあるのだが、今でも世界愚者列伝としてすら語られぬ程の存在なのだ。ネタ性すらないそれは、最早タダの「大統領に落選したからって憤死した
一方で、後の世に「建国史上最も偉大な合衆国大統領」として讃えられるランドンもまた、緊張感が漂っていた。彼は後に世界経済の立て直しには成功したものの、未来予知などという超能力があるはずもなく、彼は一挙一動を注目されていた。前任者が無能であるから余計そうではあったのだが、後に語るに「私が落選していたら、世界は戦争でもしていたかもしれませんな」というのは有名なジョークとして語り継がれている。
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