国家転覆に失敗した日本人、神様に転生させられるが異世界でも革命を諦めません

四角いトマト

第1話

第1話 国家転覆に失敗した男





「国家転覆に失敗して草」

 

冷たい鉄格子に囲われた暗い部屋で呟いた。


俺の名前は三島諭吉(みしまゆきち)、30歳のどこにでもいるごく平凡なテロリストである。


今現在、参議院選挙投開票日を狙い、当選した与党政治家の事務所にプラスチック爆弾を投げ入れ爆殺を指揮した疑いがかけられている。


全国で20人以上の与党政治家の死亡と、事務所にいた政治関係者200人以上の死傷者が連日ニュースで報道され、テロの首謀者は「崇高なる審判」の代表であるこの三島諭吉であると告げていた。

 

「どこでミスったかな」

 

今一度、これまでの自分の行いを振り返ってみる。


計画していた爆破テロは同志達の奮闘あってか概ね成功したが、やはり当選した与党幹部の政治家達全員を殺害できなかったことが悔やまれる。


事前に爆破テロの情報が公安当局に漏れていたのだろうか?


それはいつ、どこで漏れたのか?

計画にあったであろう隙について考えを巡らせること30秒、、、、答えが浮かんだ。

ていうか、あれしか考えられねぇ。



「俺タ○ミーで爆破テロの求人募集出しちゃってた」


確かあれはそう、参議院選挙投開票日の1週間前だった。


組織の代表であった親父が急死したために、急遽しがない幹部であった俺が代表へと担ぎ出された。


親父の金魚のフンであった俺はテロリズムのいろはもよく分からぬまま組織を指揮することとなり、ものの見事に判断を誤ったのだ。


だって、初めての国家転覆だったこともあり勝手が分からなかったし、同志達を無駄に死なせるような作戦は組織の長としてどうしたものかと思ったんだもん。


同志達が死ぬくらいなら、スキマバイトの人間を利用して作戦を実行したほうがみんなwin-winだろ!!


俺→同志達が死ななくてwin

同志達→死ななくてwin

タ○ミー→お金も貰えて歴史に名を残せてwin


「もうこれ一石三鳥でみんなハッピー!幸せの錬金術だぜ!!」


このアイデアを思いついた時にバカが言ったセリフである。

ちなみにバカとは俺である。


そこから先は早かった、即座にスキマバイトに求人募集を依頼し、業務内容の素晴らしさ、給与の高さをこれでもかと熱く記載した。


【業務内容】

★★★すぐに覚えられるシンプル業務なので初めての方も安心★★★

我々「崇高なる審判」では嫌いな政治家を爆殺できるスタッフを大募集中!

爆弾やテロリズムに関する知識は必要ありません。

爆弾自体は軽いため体力に自信がない方も安心です。

困ったことは遠慮なく周りの同志達に相談できる環境です。

同志達がイチから優しく指導しますのでご安心ください。

20~60代の幅広い世代が国家転覆に向けて働いている温かい環境です。

【給与内容】

★★★国家転覆後に日銀でなんぼでも貨幣を印刷できますので言い値です★★★

【注意事項】

★★★国家転覆に失敗した場合、給与が払われることはありません。ご注意ください★★★



かなり良い求人募集になったと自画自賛したが、結果は最悪だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

国家転覆に失敗した日本人、神様に転生させられるが異世界でも革命を諦めません 四角いトマト @Tomato7777

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ