54C

@foodman

第1話

幸福は一瞬だが、苦痛は永劫である。


その幸福が苦痛に変わる瞬間はいつも悲しみに満ちている。

そして、ある1人の青年もその瞬間に立ち会っている。


「クソ、どうしていつもこうなるんだ。」


最愛の人と共に屋台で呑み食いしていた青年は、悪ふざけでメニュー表に書いてあった「次」を注文した。

直後、それを注文した青年は床が無くなったように浮遊感を感じる。

その浮遊感は"次"へ進む時にいつも感じていた

感覚だった。

青年は無感情に理解し、思った。


「あぁ、またあの地獄に?」


その疑問は確信へと変わった。

気づけば辺りは知らない場所へと変わっていた。


あたりは暗く、ガチャガチャや昔よく遊んでいたゲームセンターがあった。幼児向けの小さい遊具やおもちゃが入った箱。

それらがあるのにも関わらず人気が一切無かった。まるで夢の中にいるように。


10分前に賑わっていた場所とは、似ても似つかない場所だった。


青年はその静けさに恐怖を感じていた。

それでも。


恐怖を感じていたとしても、青年は進む。

何故なら次へ進まないといけないからだ。

またあの人と共に幸福を感じる為に。

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