第3話

美作の国には、那岐の嶺がそびえておる。ある日、太郎はその那岐山に腰をおろし、弁当の握り飯を頬ばっておった。巨体の足は、はるか六里も先の湯郷の温泉地にまで届いておったという。

 そのとき、にぎり飯の中に、二つの小石が混じっておった。太郎は一つをつまみ、足元にぽんと置いた。もう一つは、先の石の上に重ねてみた。するとどうじゃ、二つの石が見事に積み上がった。

 この石こそ、今に伝わる「つみ岩」。二つの巨岩が重なり合い、長い時を経ても崩れず、今日では美作の名所のひとつとして、旅人を迎えておる。

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