④P72|廃墟カフェで読む、夏の旅。小説ブレンドのモノクローム| Casa BRUTUS目次より
記憶と現実のブレンドが生み出す、喫茶店の物語。 小説『ブレンド・メモリー』が描く、静かな崩壊と美しき風景。
④P72|廃墟カフェで読む、夏の旅。小説ブレンドのモノクローム| Casa BRUTUS目次より
@tanuki_0628
記憶と現実のブレンドが生み出す、喫茶店の物語。 小説『ブレンド・メモリー』が描く、静かな崩壊と美しき風景。
Book Review|記憶の建築としてのカフェは”思索するための小空間”
『ブレンドのモノクローム』|著:―
時間が止まったような空間。使い古された椅子。かすれた壁紙。触れようとすると消える、目に見える夢。一口飲むたび、白い湯気が揺れてゆるやかに時計の針よりも遅く空へ昇っていく。『ブレンドのモノクローム』が描くのは、記憶の底を撫でる空間デザイン。
主人公が通うその店は、どこか現実離れしている。常連たちの会話は曖昧で、景色はいつも同じ角度のまま。だがそれこそが、この物語の核心にある“記憶という建築空間”の構造美を成している。
読み進めるほどに、このカフェの建物内部や外部の空間デザインの要素を思弁的に見出すことができる。そうして物語が進むにつれ主人公とカフェへの違和感が募っていく。 実際に足を踏み入れることはできないが、誰もが心のどこかに持っている“失われた場所”を思い出させてくれる作品。本作はいつの間にか読者自身の内面を照らし出している。
この物語は、記憶を素材にした一つのインテリアデザイン。静けさと喪失が交錯するその構造体に、ぜひ触れてほしい。
西暦2024年 7月号 [モダンを学ぶ。]
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