2-2
結果から言うと、お茶会は成功した。
最初は話しにくそうだったが、ルーファスやジェレミーが間に入ることで、少しずつ会話ができる流れになっていった。
そこで彼らもまたクリスと話したかったが、クラスの
これは原作になかった事実だ。
場がほぐれてきたところで、ルーファスとジェレミーは中座した。
とはいえ、ジェレミーは心配で
どうやら
(最愛の人との時間も大切だけど、友だちと
「クリスたち、うまくいってるみたいです」
「そうか」
ルーファスは満足そうに
「クリスはどうだ?」
「自分の目で確かめてくればいい」
「俺がいると他の連中が
「うまくいっている」
「……そうか」
ラインハルトはほっと息を
「クリスは、ラインハルト先輩のことを邪魔だなんて思いませんよ」
「どうだか」
ラインハルトはふて
それでも彼は、友人ができたことを喜ぶクリスを前にしたらそんな不満などおくびにも出さず、「良かったな。でも俺のことも忘れないでちゃんと構ってくれよ?」と二人の時にしか見せない少年めいた笑顔で、
(クリスの身長に合わせるために、ラインハルト先輩が
ラインハルトは熱い
今思い出しても、最高のシーンだ。
「ルーファス。お前、まだクリスを
「狙うなんて人聞きが悪い。クリスは私と結ばれるべき運命にある。お前ではなく」
「てめえ!」
ラインハルトのこめかみに青筋が浮かぶ。
「安心しろ。前のように
ラインハルトが
「ジェレミー、行くぞ」
「はいっ」
馬車に乗り込んで学校を
「そう言えば、今週末はお前の誕生日だったな」
「覚えててくれたんですか?」
「たまたま思い出しただけだ」
この世界では、十六歳が成人の
そのため今度開かれる誕生会は、十六歳を迎えたジェレミーの成人式も
今まで一度も誕生日を祝ってくれたことのないオイラスもさすがに何もしないわけにはいかなかったのだろう。
初めてまともにパーティーを開いてくれるらしい。
そのせいで、家に帰れば社交界でのマナーを家庭教師からみっちり教わらなければならず、
文字通りナイフやフォーク、スプーンの上げ下げまで厳しく指導されたことには
しくじったら、オイラスに何をされるか分かったものじゃない。
「私のところにはまだ招待状が届いていないがどうなっている?」
「来てくださるんですかっ!?」
「お前の助言もあって、クリスとの関係は順調だからな。それに、従者が成人を迎えるんだ。主人が祝うのは当然だ。だからさっさと招待状を送ってこい」
「分かりました!」
ジェレミーは帰宅するなり、オイラスの
「どうした?」
オイラスは書類から目を
「父上。今週末のパーティーですが、招待していただきたいゲストがいるんです」
「
「まだ何も……」
「無能者を
「ですから、
「あれとの繫がりは、大切とは言わんっ」
「ですが、仮にも僕の主人なわけで……」
「この話はもう終わりだ。家庭教師がもうすぐ来る。さっさと準備をしておけ。本番で
取りつく島もない。
引き下がるしかなかった。
昨日の今日でルーファスに招待できなくなったことを伝えなければいけないと思うと、気が重い。
(男爵
ルーファスと顔を合わせるのが気まずくて朝から避け続け、もう放課後だ。
(今日はこのまま帰ろうかな……)
立ち上がった
顔を上げると、ルーファスが教室の出入り口に立っていた。
来い、と顎をしゃくられる。
「で、殿下……すみません。今日はちょっと用事が。クリスたちとのお茶会はまた今度……急いでいるので失礼しますっ!!」
「待て」
すれ違いざま強い力で
顔立ちが整っているから、余計に
「一体どういうつもりで今日一日、私を避けている?」
「さ、避けるだなんて……」
「私に噓をつくとは、いい度胸だな」
ここまで
「……招待状の件です。父にお願いしたんですが、断られました。すみません!」
「そんなことで避けていたのか」
「え……。お、怒らないんですか?」
「送らないと決めたのは男爵だ。お前を
「どうにか父を説得しますので……」
「時間の
「……は、はい」
あっさり許してもらって肩すかしを食らってしまう。
カフェのテラス席に一足早く到着したジェレミーたちが待っていると、ラインハルトとクリスが仲良く話しながらやってきた。
「クリス。あれからクラスメートたちとはどうだ?」
「今日はお昼を一緒に食べましたし、週末に遊ぶ約束もしたんですっ」
クリスは晴れやかな笑顔で報告してくれる。
聞いてるこっちの
「良かったね」
「これもルーファス先輩やジェレミー先輩のお
ちらりとラインハルトを窺うが、
「何だ?」
「……ラインハルト先輩は何も言わないのかな、って思いまして」
「クリスが幸せならそれでいい。学生生活が台無しになることは俺だって望んでない。それに、最終的に帰ってくるのはいつだって俺の元だって分かっているしな」
「当然だよ」
二人は熱い視線を
(ごちそうさまですっ!)
「ジェレミー先輩。今週末、お誕生日ですよね。少し早いですがどうぞ」
ラッピングされた箱を
「気を
「僕が
「ありがとう。開けても?」
「どうぞ」
包みを開けると、
「
「良かった」
クリスが笑ってくれる。
さすがは主人公。魅力的な笑顔に
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