第四章「だれが、なにを、みていたか」
語り手:交換日記
《4ページ目 椎名ひかり》
2025.4.24
昨日、放課後にカフェ行ったんだけど、あそこ、コーヒーの匂いがすごいね。
なんか、店員さん、こっちが何も言ってないのにハート描いてくれたし。
写真撮ったらちょっと目が合った気がして、びびった(笑)
てか、古賀くん、意外とちゃんと書くタイプなんだね?
読むの、ふつうにおもしろかったかも。
自分のことあんま言わないのに、ちゃんとなんか残してる感じする。
あ、佐伯はさ、名刺の件、あれってちょっと書きすぎだったかも?って思ってる。
てか、私、たぶんちょっと怒らせたかも?って思ってる。
ごめんねって書くのもヘンだけど、
なんかこの日記、変な空気になってたらイヤだから書いとく。
次、佐伯に戻していいかな。
てか、これって誰が読むか分かんないのに、けっこう本音書いちゃうね。
なんか変だね。
《5ページ目 佐伯紗耶》
2025.4.25
べつに怒ってないよ。
名刺のことは書いたけど、たぶんあれは私も言いすぎだったと思う。
てか、ひかりのこと怒るって感覚、なんか違うかも。
ただ、なんかちょっとズレてるなって思う時はある。
それだけ。
昨日のカフェ、わたしもラテ飲んだけど、あれ本当に味わうとちょっと感動した。
けっこう深い。最初あまいのに、あとからすっぱくて、でもにがくないって感じ。
飲んだあと、ちょっとだけ、話したくなるような味だった。
てか、古賀くん、マジであの焼きそばパンの話いる?(笑)
理科の話はともかく、ソースの染みの描写は小説かと思ったわ。
次、古賀くんでいい?
てか、またシャーペン忘れてたよね、今日。
貸した芯、返さなくていいからちゃんと使って。
《6ページ目 古賀瑛太》
2025.4.26
交換日記って、回すと性格出るね。
椎名さんは感覚で書くし、佐伯さんは冷静で、でもけっこう中身出してる。
俺はたぶん、説明っぽい。
説明って、嫌われるかもしれないけど、誤解はされにくいと思ってる。
カフェのコーヒーは美味しかった。
自分ではうまく言えないけど、後味が記憶に残るってこういうことかなって思った。
ふつう、飲んだら終わりなのに、あとから何回か思い出した。
あと、今日気づいたんだけど、日記って、“書いてない人”のことも、
なんとなく中に出てくるよね。
あのハンカチの子の名前、誰も書いてないのに、
もう全員がなんとなくわかってる気がするのって、変だね。
次、どうします?
このまま回しててもいいけど、誰か誘ってもいいのかな。
それとも、この3人だけで続ける?
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