#七福神の日 掌編小説・『七福神』
夢美瑠瑠
第1話
ブレーンストーミングがえんえんと13時間行われて、その挙句、タカラブネ食品会社の新製品開発部から最終的に一つのアイデアが発表された。
それは「七福神カレー」という新しいカレールーのブランド。
カレーには例の”福神漬け”がつきもの。 で、タカラブネに乗った七福神というのは開運、招福のシンボル。
で、”いろいろと子孫の繁栄やら体調の管理に役立つ新時代のカレー!!”。
”健康に良くて、食欲が進むような成分を満載して、家運の隆盛、ひいては日本国の新しい時代の国力増強も視野に入れた、カレーの最終形態!!”…
とかく会議をし過ぎて大袈裟になりがちなのがコンセプト、企画というものだが、まあ悪いことがなくなるための新しい商品、で、シンボルが七福神というのはまっとうな発想だった。 結局そういう総花的な発想に落ち着いたのだ。
開発部長に特命を受けて、「七福神カレー係長」に任命されたのが、福永法元という仏教大学卒で実家がお寺という男だった。
「もともと七福神とかそういう宗教的なアイテムの故事来歴には詳しい私です。 さらに徹夜で徹底的ににわか勉強して、学位でも取れそうな”七福神マニア”になりました。」
企画会議でのそういう熱意あふれる発言を買われたのだが、日ごろから福永は”社長”が綽名の上昇志向で、が、真面目な努力家で、出世以外は眼中にないタイプでもあった。
<続く>
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