アルタイるるっと流れ星

萩野うづら

カクヨム短歌賞1首部門 応募作品

地球影ちきゅうえい 朝の最初の一片ひとひらを見にゆくまつげも息も凍らせ


つめたくて湿った風は海の風 わたしのゆくさき、ゆくさきに海


シーフード味のポテチをかじるときずっと遠くで散る波頭


水際みなぎわをひたひたゆけばキュクロプス遠い花野で私を呼んだ


図書館の裏手の森で妖精に水蜜桃すいみつとうを一個盗られた


ラベンダーの精油を指に擦りこんでお参りにゆく山のお社


うすみどり 裏切った日のくちびるをぬくめてくれる天蚕てんさんの繭


真昼でも月は地球の衛星で コンパスひとりでに踊りだす


すり硝子拾ひつゆけば太陽のおほとのごもる海のそらぎは


幼子をすばるに眠らせ宵闇を流れる街灯とおく見つめた


デネブ、ベガ、アルタイるるっと流れ星 駅前広場の芝はふかふか


天窓の月の光を掬う真夜まよアーチのあいを泳ぐシロワニ

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アルタイるるっと流れ星 萩野うづら @Uzura168

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