ギルド嬢シェリーの探偵日記
藤谷葵
第1話
「やあ、シェリーさん、こんにちは」
冒険者ギルドの受付に立っていると、声をかけられた。声の主は、冒険者Sランクで評判の良い、カイザーさん。
「カイザーさん、こんにちは。今朝、受けたクエスト、もう完了したのですか?」
「ああ、俺とサウスにかかれば、どうってことないよ」
「じゃあ、今、精算を行いますね」
討伐クエストのアイテムを確認して精算が終わると、カイザーさんは購入も求めてきた。
「毒消し草が欲しいんだけど。今回の討伐の仕事で、ちょうど切らしてしまってね」
「毒消し草ですか……申し訳ありませんが、今は在庫がありません。只今、採集のクエストで依頼中になってます」
「ギルドに備蓄されている毒消し草あるじゃん? あれは売って貰えないのかな?」
私は、ギルド倉庫に保管してある、毒消し草を思い出す。
「あ~、あれは緊急時用でして、お譲りすることはできないことになっているのですよ」
申し訳なくて私は頭を下げる。
「いや、いいですよ。無理言ってすみませんでした」
カイザーさんは、爽やかな笑顔で帰って行った。
今日もいつも通りの一日が終わると思っていた。そう思っていたら、衛兵がやってきた。
そして、時間が惜しいのか、口早に用件を言ってきた。
「街中で、人が死んでいる。調査に協力して欲しい」
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