鎖罰の少女

ゆーれい

第1部 鎖罰の少女

第1章 不穏の街と鎖の少女

プロローグ

「…また、消えた」


 誰も居ない山小屋で、私はそう呟く。左腕は鎖で繋がれ、とうに感覚も無くなった。こんな物で、私を縛れているつもりだろうか。


 どれだけ頑張っても、謝罪しても、私の罰はまだ足りないと飢えを主張してくる。きっと意味なんて無い、そうわかってはいるが…これが私の自己満足だとしても、それに意味があると他でも無い自分が信じたいのだ。


「もう…行こう」


 何日居たかなんて覚えていない。鎖を外し、傷だらけでぼろぼろな体を引きずって外に出る。

 ……眩しいな。


 裸足のまま土の上を歩けば、ジャラジャラと煩い鎖が後を着いてくる。

 同時に、不快な声が耳に入って来た。


「あっ?…どうやって出てきた、お前」

「………」


 なんだ、居たのか。まあ良い。

 足を止めることなく前に進む。


「おい!止まれっっ!!殺しちまうぞ!!」

「………」


 うるさいな。


「おぃ………ぇ。」


 からんっ

 と、剣と頭が地面に落ちた。剣を抜いていたのか、興味すらなかったな。

 一瞥してまた歩きだす。目前に見える街から、罪の音がする。


「はぁ…それにしても、ジャラジャラ煩いな」


 他の人には聞こえない癖に、私にだけは良く鳴くな。

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