散歩

樫宮頼雪

散歩

空蝉を数えて歩く登下校 ひとつひとつがぼくの友だち


一人きり歩く道すら未知に満ち すべて輝くシンセカイより


木の陰で眠る子猫を見つめてる 名前も知らないランドセルたち


雨が降る中で僕らの声だけがルンとスキャット 水の伴奏


夏すらも追いつかないほど駆けていく 風の声だけついてくるんだ


「ごめんね」を聞こえないふり 長続きしてるケンカも進歩の証?


冒険は子供の特権 夕暮れの川に向かってボンボヤージュ


いつの間に伸びた背丈と木の根っこ 木の葉の影に蛹が揺れる


ただ一つだけのポケット ホッカイロ 熱を分け合い吐く息は白


ねえ、君は知ってたのかな。僕たちが歩いた道は全て奇跡と。

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散歩 樫宮頼雪 @wakaba_kochi

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