この10首連作に出会ったのは、蝉の声が響く夏の日だった。「やわらかな きみを抱きしめ 春が吹き」の冒頭から、まるで風に包まれるような心地よさを感じた。特に印象的だったのは、「風船ひとつ 持ち歩く」という表現だ。待ち望んだ春の軽やかさと、それがあっけなく過ぎ去ってしまう儚さが重なり合う。「もふもふの青」や「タッタラタッタ」といった言葉の響きが、過ぎ去った季節への愛おしさを込めて私の心をそっとほぐしていく。待ち侘びた春があっけなく通り過ぎた後に残る、あの切ないぬくもりのような気持ちがよみがえってきた。
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