最弱魔王の異世界攻略

暁ノ勇者

第1話 最弱魔王誕生

目を覚ますと、知らない場所にいた。

当たり一面がレンガの壁に覆われており、まるでお城のようだった。

そして俺は玉座のような椅子に座っていることに気づく。

な、なんだこれ!?

ここ何処だよ!

確か、俺は家でシコってたはずだ。そこでイク寸前に……

「お目覚めになられましたか。魔王様。」

考え事をしていると、女性の声が聞こえてきた。その方向を向くと、美人な女性が俺の前で跪いていた。

ん、魔王様?

今、確かにそう聞こえた。

「困惑するのも無理ありません。なんせ、わたくし達が召喚したのですから。」

召喚?ああ、そういうことか。つまり俺は異世界に来たのか。

こう言う類のものはよく読んでいたからなんとなく分かる。

しかし、まさか俺がな。別に元の世界ではニートだったし、悪くはないな。現に美人が俺の前で跪いているわけだし。

「あ、ああ。少々困惑している。何故私が呼ばれたのか教えて欲しい。そなたの名は?」

それとなく魔王っぽい口調で話してみた。そこで気づいたが声が変わっている。渋くなった感じだ。てことは見た目も変わっている可能性もある。

「はい。わたくしは魔王様の側近であるザキと申します。」

ザキに、この世界について詳しく教えてもらった。


どうやら、この世界では魔族と人間が争っているらしい。

まあ、異世界ものの定番だ。

でだ、俺が呼ばれた理由だが、なんでも前の魔王が死ぬのは嫌だと逃げて行方不明になったらしい。そこで緊急手段として魔王召喚の儀式をした結果、俺が呼ばれたってわけだ。

うん、意味分からん。何してんだ魔王。

そんな頭が痛くなる話を聞き終えると、ザキが話しかけてきた。

「それでは魔王様。最初にステータスのチェックをしてもらいます。ご自身の『鑑定』スキルを使用して下さい。」

唐突にそう言われ、戸惑う。

いや、使えって……どうすればいいんだ?

「どうされましたか?」

「あ、そのどうすれば使えるのだ?」

すると、ザキは何を言っているのかわからないというように首をかしげる。

「え?普通に使うのでは?」

「いや、前の世界ではこういうの無かったのでな。」

そこで、ザキはやっと理解したようだ。

「!、そうでしたか。でしたら、念じるようにすればできると思います。」

だいぶアバウトな説明を受け、俺は試してみることにした。

鑑定!

すると、目の前にいるザキに事細かなステータスが映し出されていた。


ザキLV100 種族スパイダークイーン


HP200

攻撃100

魔法300

防御100

スピード200


おお、これぞ異世界。

俺は剣と魔法の世界に来たことを改めて実感し興奮している。そして、さも強いであろう俺のステータスを確認した。


タナカLV100 種族魔王


HP50

攻撃25

魔法0

防御25

スピード50


………クソ弱えじゃねえか!





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