2組の恋人達

@amane404

一話完結

『ダブルデートをしましょう/しようよ!』

『は?』


頭の中が?で埋まる

恋人とのデート中彼女が甲高い声を上げ、飛び出したと思ったら急に人に抱きついた

何をしているんだと少しの呆れと、それ以上の驚き、頭がおかしくなったのかとも心配した

しかし、どれも違った

彼女が抱きついたのは彼女の親友だという

名前は音無緋色

これでおとなしひいろと読むのだそうだ

儚げな雰囲気を持った美人である

まあ、そうは言っても自分の彼女である陽向葵(ひなたあおい)か1番なのだが

そして、2人の女性が抱き合っている横で自分と同じような表情をして固まっている男は南雲蓮(なぐもれん)と言うらしい

抱き合ってそのまま彼女たちは男ふたりを連れてカフェへ走った

そこで今、自己紹介をされ、初めて知り合った

自分は霧島翠(きりしますい)で、葵の彼女だと名乗る

彼女たちは久しぶりに会ったらしく、盛り上がりに盛り上がり、結局最初のセリフに至ったのだ

彼女たちはいいだろう

久しぶりに会った親友同士楽しく過ごせる

しかし、こちらは初対面だ

気まづいにも程がある、やっぱりやめようと言う言葉が出るのを永遠止まったが、悲しくも来週の土曜ダブルデートというものをすることになってしまった


めっちゃ楽しみなんだけど!

俺は葵に構いっきりで男友達が少ない

だからこそ今日のダブルデートで霧島翠!絶対に南雲蓮と友達になってみせる


「今日は楽しもうね!」

「ええ、みんなで楽しみましょう」

「こんにちは…」

「こんにちは!」

「じゃあ、れっつごー!!」


そのまま彼女たちは腕を組んでショッピングに向かった


「俺たちも行きましょ!」

「あっああ、」


蓮は少し緊張した様子を見せているが大丈夫!きっと最後には心の友になってくれるかもしれない


「あれ、行くんじゃないですか?」

「あ!行こう行こう!」


俺が心の中で炎を燃やしていると蓮から声をかけられる、なんだか冷静沈着、寡黙という印象で蓮の彼女である緋色とは正反対な印象を受ける

まあ、それはこちらも同じか

葵は何をしても驚かない、一時期彼女をどうにかして驚かそうと奮闘していたが、彼女は顔色ひとつ変えずに

「何馬鹿なことしてるの」

と微笑むばかりだったのでもう諦めた

それにその微笑む顔がとても綺麗だったから

呆れ顔になる前にやめようと思ったのもある

この4人が歩いているところを見ると他の人には俺と緋色、蓮と葵がパートナーと思われるだろうなと考えながら歩く


「あれ、翠さん、緋色たちどこに行ったか分かります?」

「え、居ないの?」

「居ないですけど」


葵たちとはぐれてしまったみたいだ、少し焦るが、蓮はなんだか冷静だから、どこに行ったのか分かるのだろう、それかどこで待ち合わせしようとかもう連絡を入れているのかもしれない

ただ、このショッピングモールは広いからかなりの時間離れてしまったらもう会えないかもしれない、一応聞いておこうか


「いつから??」

「えっと、少し前、緋色たちがどこでご飯食べようかって話してたところから少しずつ離れてしまってましたね」

「なんで早く言わないんだよ!」


蓮、冷静沈着、寡黙だと思っていたが違う、こいつ!ただの天然じゃないか!

なるほど納得がいった!このダブルデートを企画する時も連の彼女緋色が率先して計画をねっていて、蓮はそれに頷くだけだった、引っ張ってくれる緋色、それに着いていく蓮なるほどピッタリのカップルだ

それにそれはうちも一緒だ、企画するのはいつも俺、葵はいつもいいわねと言って俺の行きたい所へ着いてきてくれる

そりゃ親友にもなる

引率する緋色、それについて行く葵相性抜群だ

おや、ならば、こちらも同じじゃないか?

今の状況ならば探す計画は錬れる、蓮の彼女に連絡を入れるそれだけでいい、きっと葵はショッピングに夢中でスマホなんて見ない、蓮たちがこちらのカップルと似たカップルならば、緋色はきっとこまめにチェックしているはずだ、俺だってさっきから葵にどこにいるか連絡を入れまくっている

既読はひとつも付かないが


「どうしましょう、翠さん、もう会えないのかな」

「大丈夫だって!蓮くんは、緋色さんに今どこにいるのか聞いてみて」

「聞くって何で?」

「LINE入れてみてLINE」

「分かりました」


蓮はタプタプとラインを入れている

少し肩がビクッと上がった

きっと返信が来たのだろう


「3階のアクセサリーショップにいるらしいです」

「よし!じゃあそこで待っててって伝えてもらっていい?」

「はい」


よし、これで合流はできるはずだ


「その、ありがとうございます」

「何が?」

「僕が何したらいいか教えてくれて、僕トラブルとかがあるとパニックになって何も出来なくなっちゃうんです。翠さんがいてくれて良かった」

「こっちのセリフだよ、葵はスマホなんて絶対見ないから緋色さんに連絡が取れる蓮くんがいてくれてよかった」

「あの…良かったらLINE交換しませんか?」

「おっけ!じゃあ交換したらすぐ葵たちがいる3階行こう!」

「はい!」


よっしゃあ!LINEを交換できた!これで今日の目標達成したと言ってもいい

いや、今はそれどころじゃないな、早く合流しなきゃ


「走るよ、蓮くん!大丈夫?」

「大丈夫です!」


その場所にいると分かったら早かった

15分もかからずに合流することが出来た

2人からはこっぴどく叱られたが


「もう!どこ行ってたの!!心配したんだから!」

「全く、あなたはいつもボーッとしてるんだから、今回もそうだったんでしょう」


僕は緋色にこっぴどく怒られた

怒られたことは少しいやとっても悲しいけど

なんだかはぐれたっていうのに楽しかったんだ

翠さんと一緒にいる間は気まづい時間なんてなくて、なんだかわくわくして、安心した

誰だダブルデートなんて辞めておけなんて言った馬鹿は

僕だ

こんなに気の合う友達ができるっていうのに

昨日の僕にあったら殴ってやりたいくらいだ


『ごめんね/なさい彼、迷惑かけたでしょ/う』


俺、僕達は目を見合せてニッコリと笑って答える


『全く!』

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