第16話 新党

1週間前の事、久々に湊が二人に会いに来た日

「義姉さん、田尾さん。今度の選挙、民自党は惨敗の予想です。管の政権運営だけでなく、各大臣そして民自党自身がまた腐ってしまっています。このままでは日本の将来が心配です」

田尾が「私のような政治に素人のような人間でも、今のままではダメな事が分かりましたよ。誰かが日本の政治にメスを入れ大手術をしなければ、いずれ世界から相手にされなくなります。50年後のいや10年後の日本は無くなりますよ」

紀子は少しはにかみながら「あなた、新党でも作って自由にやってみたら」

「私は、政治経験も乏しいし、政界の事も全く知らない。政治家は無理ですよ」

「でも、あなたはアルバイトで総理大臣ができるのですよ。そんな人、他にはいませんよ」

「そりゃ、そうだ。大したものだったぜ。兄貴?!」笑いながら湊が言う。

「からかわないで下さい」

「まあ、考えてみなよ。それより今から兄貴のお墓にいかないか。死に目にも会えてないから皆で謝りにいこう」

「そうしましょう」と紀子

「私もいっしょで良いのですか」

「あなたは絶対行かなくっちゃ。なにせあなたのお墓なのだから」

それから3人で矢部家のお墓にお参りに行った。線香の香りが漂う中、田尾の頭の中に『まだ終わっていない。後を頼む』と矢部からのメッセージが聞こえた。2人に聞いたがそんな声は聞こえなかったらしい。

【矢部さん、俺 精一杯がんばってみます】心の中で矢部に伝えた。

「紀子さん、湊さん。俺やります。新党を創ります」

「よっしゃ、よく言った。【矢部新党】俺も参加するよ」と湊。


それから湊による、水面下での民自党の優秀な若手議員達への勧誘が始まった。湊も参議院から鞍替えして、広島第1選挙区から出馬する。矢部が復活して民自に変わる新党を立ち上げる【矢部新党】の看板のインパクトはすごく、1週間で100人を超えての参加があった。

民自党の管政権は、懐に手を突っ込まれて議員を引き抜かれても何もできない。(管には殺人の負い目がある)そして内閣不信任案が野党から提出され、新党参加者が賛成にまわり可決された。

そして衆議院が解散した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る