第7話

 神崎が温水にお礼を言った。

「いえ、たいしてお役にたてませんでした」

「いいえ、そんなことないですよ、温水さん来てくれてとっても助かりました!」

「いやあ、僕なんてロボットの足元にもおよびませんよ」

「そんなこと言ったら私もです、というか世の中の人みんな及ばないですよお、あははは」

 温水は苦笑いをした。確かにそうなのだ、そうなのだが。

「また、良かったらお願いしますね!」

「はい」

「これ、今日のお礼です」

 神崎は紙切れを数枚、温水に渡した。

「これは?」

 温水は紙に書かれている文字を見た。

「天城商店街福引き券、ああ近所のやつだ」

「これで特賞でも当てちゃってください!」  

「当たれば嬉しいなあ。ありがとうございます」

 二人は手を振り合って帰った。

「んー」

 帰りながら温水は福引き券を眺めていた。    

 冷えた弁当を食べながらTVを見る。ロボットのCMが流れていた。 

「よし、今度は間に合ったぞお」

 朝のゴミ捨て場に温水はいる。

 積まれているゴミを見た。 

 燃えるゴミじゃなくて、燃えないゴミの日だということに気づいた。

 温水はじっと自分のゴミを見つめる。

 燃えるゴミだ。

 ゴミ収集車が来た。

「ゴミ大丈夫ですか?」

 ゴミを回収し終わった回収員が話しかけてきた。

「あ、はい」

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