第二十一話「遊園地は町田の縮図」

 「この前は助けていただいて……お礼に、どこか行きませんか?」

 そう言って植村さんが差し出したチケットは、遊園地の入場券だった。


「い、行きますっ!!」

 俺は二つ返事でOK。

 そして休日、二人で駅前に集合して遊園地へ。


(デ、デート……!? これ、完全にデートじゃん……!)



 観覧車、ジェットコースター、メリーゴーラウンド。

 どれも緊張と楽しさが入り混じる時間。

 だが——


「やっほー北山!」「また会ったね!」

「こっちもデートかよ? くっそ笑うわ〜!」


 通路の先にモケ女三人組。

 しかも手にはガンプラの紙袋。「ガンプラ展示コラボ目当てで来た」とのこと。


「え、え、え……なんで!?」



 さらに向こうから。

「Silent Riot、今日ここでフリーライブなんです!」

 ことね&彩葉&芽依がステージ衣装で手を振っている。


「推しが! 推しが目の前に!!」

 俺の心臓は爆発寸前。



 そして屋台コーナー。

「やっぱここのフランクフルトは町田最強だな!」

「いや綿あめだろ!」

 橘姉妹まで現れ、わいわい騒いでいた。



 極めつけに。

「兄ちゃん、また会ったな」「ウ゛ゥゥゥゥ……」

 猫丸とべすがアイスを片手に通りかかる。


(なんで全員集合してんだよおおおお!!)



 カオス極まりない遊園地。

 俺の隣で植村さんは、少し困ったように笑っていた。


「……なんだか賑やかですね」

「す、すみません……俺、こういう……縁が多くて……」

「ふふっ、いいじゃないですか。みんな楽しそうで」


 その笑顔を見た瞬間、周りの喧騒なんて全部どうでもよくなった。


(……やっぱり俺は、この人の隣がいい)


 遊園地の喧騒の中で、そう思わずにはいられなかった。

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