詩編
@Nantouka
くじら
「鯨はね、空を泳ぐんだよ」
「空を、ですか」
「僕が前に呼んだ本にはクジラは海で泳ぐって書いてあったけど、そもそも海ってどういう物なの。大きな水たまりだったけど」
「大きな水たまりですか、まぁそういうものですよ」
「おかしいよね、だってクジラは空にいるのに」
オーン
「噂をすれば、きたよ」
少年は窓を開けると身を乗り出した。落ちそうなほどに
そして顔を上げる。俺も窓の元へ向かい少年が見ている方をみやる
オーン
そこには2頭の親子クジラがいた
確かに空を泳いでいた。その豪快な体をうねらせて
「此処ではクジラは空にいるんですね」
「そうだよ、海なんかしらない、空に居るんだ」
空を泳ぐクジラは俺が知っているクジラそのものだった。只いる場所が
空と海との違いだけだった。しかし
「こんな下からクジラを見たのは初めてです」
「そう?クジラは高い所を泳ぐからね、いっつもお腹ばっかだよ」
海と空違いはあれどどちらも悠々自適にその体躯をくゆらせている
クジラとはそう泳ぐものだ
自然と違和感は感じなかった。多分この身がこの世界に慣れつつあるのだろう
悪い気はしなかった。
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