ナイファーガールズ

猫と読む部屋

第一章 河童の真似っ子

やけに綺麗なオレンジ色の夕焼けと、カラスの鳴き声。いつものように河川敷を左に、住宅街を右に歩いていた。スマホを触りながら、夕飯のことを呑気にあれこれ考えていると、子供の叫び声が聞こえたと同時に二人逃げるように一軒家から出てきた。

「……は?」

リュックの重さもスマホの重さも、変わらないはずなのにないように感じた。あの感覚は今でも不思議で、不気味で鳥肌が立つ。

「お母さんやめっ!!」

一人、女の子が川に放り投げられた。河川敷だから深くはない。だけど、昨日の雨で流れが速く、今日はあまり人がいない。水の音が聞こえた次には、怒りで一杯で持ち前の速さで体が前に進んでいた。

「そこのクソ親ー!はよどかんか!!」

一発ぶん殴りたくて、右手の拳を後ろに振るともう目の前まで来ていた。

「邪魔するなぁぁ!!」

あの崩れた顔も忘れられない。自分が飛び込むのを躊躇した時用に持ってたらしく、包丁が隠れていた右側から振り上げられようとしていた。それからは、覚えていない。

周りには既に警察車両が4台程。黄色いテープの中にある、その内の一つの車両中に手錠掛けて右奥に座らせられていた。ドアは空いていて、丁度持ち主の警官が戻ってきた頃。

「男の子、助かったってや」

「男の子…ですか?」

「起きたばっかで、整理つかんか!そりゃそうや、でも周りには人おらんかったし、目撃情報もあるんや。思い出したら全部教えてくれ、あっシートベルトしろよ?」

優しく話しかけてくれたっけ。何も分からない私に、教えてくれなどど…と悩みながら血だらけの白い線で囲まれた場所を見る。まさか私がやったなんて言うんか??

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