悪魔王降臨
「なんか最近事件ないなお前らの精霊会議も進展ないし」
「亜里坂さん、そりゃ無理だよ高峰さんがこんな感じじゃ」
「あー相変わらずの廃人っぷりだな」
「亜里坂さんつついちゃだめだよ」
「そうなの・・・じゃあ」
「香春さん転がさないで!!」
「こねてみたら元気出るかと思った・・・」
そんなわけない。
「どうすんだよせっかく生徒会室が使えるようになったのに話が先に進まないじゃんよ」
「相模原君・・・高峰さん励ましてみたら・・・?」
「香春!それは無理だ俺にはそんな才能はない!陰キャなめんな!」
「偉そうにいう事じゃない・・・」
香春さんの言うことはもっともだ。
しかしそこに関しては俺も偉そうなことは言えない。
同じ陰キャとしては励ましの言葉のかけ方がわからん。
「しょうがないなぁ僕が何とかしてあげよう」
「本郷さん・・・なんかすごく不安んなんだけど大丈夫だよね」
「徹、任せてよ高峰の事は僕が1番わかってるんだからさ」
わかってる・・・からこそ不安なんだが・・・。
「高峰!カットキットだよ。おいしいチョコレートだよ」
「無理無理そんなんで反応するわけないじゃん」
「しょうがないなぁ」
「ダメダメ無理やり口に入れちゃ」
「本郷さん・・・強引・・・男らしい」
「香春さんこれは男らしさくないよ」
「・・・おいしいですわね」
「だろ!新味なんだよプリンサブレ味」
それはプリン味なのかサブレ味なのか・・・?
「さあ美味しいものを頂いたところで今後の・・・」
一瞬・・・一瞬立ち上がったいつもの高峰さんが見えた気がしたんだが・・・。
「戻ったな」
「お菓子・・・足りなさそう・・・」
「じゃあカットキットだ」
「どうやって精霊王を探す・・・」
「またもとに戻った。」
「まだまだカットキットはあるから大丈夫だよ」
「やめろやめろ食べさせすぎだよ公式ページにも1日2枚までって書いてある」
「えーっ徹はまじめだなぁ」
やはり・・・やはり不安が的中した本郷さんは安定した劇薬だ。
「美味しい物っていうアイディアは悪くないわね。今日私の家で高峰怜奈を励ます会をしましょう」
水無月さんの家・・・敷居がまたげない水無月さんの家・・・果たして俺は入れてもらえるのだろうか?
それだけが心配だ。
続々と水無月さんの家の中にみんなが入っていく。
そっと家の敷居をまたいでみる。
恐る恐る水無月さんを見る。
「・・・今だけよ。今だけ特別に敷居をまたがせてあげるわ。言っとくけど今回だけだからね。本当に今回だけだからね」
「すごく念を押すね。相模原は普通に入って行ったけど・・・」
「あれは・・・安全だから」
安全?俺と相模原にそんなに違いはないと思うぞ・・・同じ陰キャ属性だし。
そして高峰怜奈を励ます会を始めようとしたその時、突然の来訪者が現れた。
ちょっと高めの身長にすらりと伸びた長い脚、茶色く長い髪はちょっとチャラさを感じさせている。
うちの学校の制服を着ているから学校は一緒だし年は近いということはわかるが仲良くしたい感じではない。
「誰?水無月さん知ってる?」
「知らないわよ」
「私の知り合いじゃないね香春知ってる?」
「わたしも・・・知らない」
「相模原おまえうちの学校の生徒の情報詳しいだろ?」
「俺が知るわけないだろ俺が知っているのは女子だけだ」
「普通にちょっときもいわね。安全は取り消しね」
「おいおい誰も僕の事を知らないのかい?僕は真田丸光一(さなだまるこういち)だよ。」
「急に名前言われても知らないものは知らない。水無月さんの家に来てるんだし知り合いじゃないの?」
「知らないわよ!犬小屋に来た渡瀬君の客じゃないの?」
「おいおい困った子たちだね。君たちは僕の事を探していたんじゃないかい?」
探していた・・・ということは!!!
「精霊王!!!渡瀬君!!殺るわよ!!」
高峰さんが黒い影から復活し巨大なカマを真田丸に振り下ろした。
「今よ!!渡瀬君殺って!!」
「早い早い!まだ精霊王って言ってないし気が早い!」
「おいおい危ないじゃないか死んでしまったらどうするだい?」
「ほら!私の攻撃を食らって平然とする存在精霊の攻撃を無効化できる精霊王以外のなにものでもありませんわ」
「精霊王様!!ついにお会いすることが出来ました。私水無月紗耶香っていいます」
「精霊王?なんのことだい?僕はね・・・悪魔王!!悪魔王さ!!」
「じゃあ死ね!!」
響き渡る爆音とともに水無月さんの右手に握られた銃が真田丸の眉間を貫き、真田丸は吹き飛んだ。
「おいおい痛いじゃないか・・・せっかく666年ぶりに復活し悪魔界を盛り上げようとしてるのにさ」
「さすが悪魔王ね。それならこれはどうかしら?」
連射!!銃を連射する水無月さん、容赦なさすぎる。
真田丸の前に黒い影が立ちはだかり弾はすべて黒い影にはじかれた。
水無月さんの前に高峰さんが立ちはだかる。
「悪魔王・・・こんなところにいたのですね。精霊王を殺す手伝いをしてもらっても良いかしら?」
「邪魔する気!!」
「あら精霊王を殺すのを邪魔しているのはあなたではなくて?水無月さん」
「あなた精霊でしょ悪魔の味方してんじゃないわよ」
「精霊でも悪魔でも使えるものはなんでも使いますわ亜里坂さんちょっと手伝ってくださるかしら?」
「うーん・・・いや・・・」
「どうしましの?あなたが探してた悪魔王ですわよ?」
「違うんだよね、思ってたのとさ、もっとこう威厳があるっていうかさ・・・まさかこんないけ好かない奴だとは思ってなかったからさ・・・ごめんちょっと気持ちがついて行かないかな」
「大丈夫だよ高峰、僕が味方するからさ」
「本郷さん頼りにしてますわ」
「水無月さん・・・大丈夫・・・私はあなたの味方」
「じゃあまずは僕の攻撃からだね【ファイアーバード】火の精霊であり火の悪魔でもある僕の攻撃受けてみな」
無数の火の鳥が水無月さんと香春さんに襲い掛かる。
「水無月さん撃ち落として・・・」
「任せて私のウォーターガンの前では火の攻撃は無意味よ」
銃がうなりを上げ弾を連射、次から次へと火の鳥を消し去っていく。
水無月さんすごすぎるよ。
「風・・・」
香春さんが起こす風・・・凝縮された風が一点本郷さんに集中し本郷さんを吹き飛ばした。
壁にめり込んだ!本郷さんが壁にめり込んだ。
激しすぎる衝撃!死んじゃったんじゃないだろうか?
「やるねぇ。さすがの僕もちょっとやばかったよ今の攻撃はさ」
おいおい、あんなに激しく壁にめり込んだのに平然と身体伸ばしたりしてる。
なんか化け物だな・・・。
「あっ徹、びっくりした顔して、君もこれぐらい大丈夫なはずだよ超能力をちゃんと使えばさ虎の穴でやったでしょ」
そういえば虎の穴でそんなことやったような・・・なんて回送している場合じゃない。
やっと落ち着いてきたはずだったのに大荒れだよ大荒れ真田丸のせいで大荒れじゃないか。
「あのさ、盛り上がってるとこ申し訳ないんだけど、ちょっと聞いても良いかな?さっきから言ってる精霊王ってなに?」
「何って精霊王は精霊王に決まってますわ」
「精霊王は精霊王よね1万年に1度復活するあれよ」
高峰さんも、水無月さんも精霊王って言ってるけど実際何なのかはよくわかってないんじゃ・・・。
「渡瀬何その顔・・・犬小屋から格下げするわよ」
あぶない、危うくまた物置に戻される所だった。
君付から呼び捨てにうっすら格下げされた感はあるけど・・・。
「まじかー1万年に1度?どうりで・・・どうりで注目されないわけだ。俺さ666年ぶりの悪魔王復活で世の中騒がせて注目されようと思ってたんだけどさ一向に話題にならないしなんでかなぁって思ってたんだよね。そしたらさ、1万年ぶり?そりゃ今じゃないね。いいタイミングの時にまた来るんで俺帰るわ」
そういうと真田丸は足早に立ち去って行った。
波乱と混乱と対立だけを残して・・・。
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