超能力協会虎の穴
後日、俺の元に1通の手紙が来た。
世界超能力協会 日本支部 虎の穴課
超能力協会からの手紙・・・なんで俺の居場所が分かった住所不定なのに直接犬小屋に送ってくるとは超能力協会・・・恐ろしい組織だ。
前略 渡瀬徹様
来週から1週間虎の穴訓練所で訓練を受けること
来なかったりしたら抹殺します。
手紙の文章・・・怖くないか?抹殺と書いてあるし超能力協会って殺伐とした組織だな。
まあとりあえず父さんに聞いてみるか。
家の敷居が跨げないのでドアホンを鳴らす。
「なに?夜這い?調子に乗らないでよね。まだ精霊王にも会長にもなっていないんだから」
「水無月さん・・・そういう事じゃなくて・・・」
「えっ何あなたがここに来る理由でそれ以外あり得る?」
「あるよある、父さんに用があるんだけど」
「1位のお父様に?あなたごときが1位のお父様に何の用?」
「あの・・一応実の息子なんだけど・・・」
「仕方がないわね今呼んであげるわ」
「どうした犬小屋の主!」
実の息子に対してなんてこと言うんだ。
しかも犬小屋の主は犬であって俺じゃない
超能力協会からの手紙を見せ状況の説明を求めてみた。
「まあ超能力協会の会長候補になったあからな必要な力を身につけろって事じゃないか?」
「行きたくないんだが・・・」
「選択肢ねぇだろ来なきゃ殺すって言ってんだから行くしかないだろ」
「お前のせいなんだが」
バタン!!と家の扉が閉じられた・・・逃げた・・・?
急いでドアホンを鳴らす。
「夜這いとか迷惑だから早く犬小屋に帰ってくれる?お父様も困っているわ」
「いや夜這いじゃなくて・・・その父さんに・・・」
「言い訳はいらないわ。私にふさわしい男子になって帰ってきて!」
言い訳ではないんだが・・・。
翌日生徒会室にて高峰さんに事情を説明してみた。
「あの高峰さん来週いっぱい超能力協会の関係で生徒会室に来れないんだけど」
「別に問題ありませんわ」
「もう少し困るふりぐらいは・・・」
「でも困りませんし」
「喧嘩とかしない?」
「しませんわよ。もめる原因になっているあなたがいないのですから喧嘩する理由がありませんわ」
「そう・・・渡瀬君がもめる原因」
「香春さん・・・追い打ちいらない」
こうして俺は世界超能力協会日本支部虎の穴課へ行くこととなった。
とある雑居ビルの中に虎の穴課がある。
不気味で薄暗い部屋の中で待たされる事1時間。
「あーごめんごめん待った?ちょっと先に地下駐車場に行っててくれる?」
スーツを着た年上の女性・・・なれない人種なので緊張する。
1時間以上待たされている事とかそもそも何もなく地下駐車場に行くなら始めから駐車場に呼べばいいんじゃないか?薄暗い部屋に座らされた意味って何なんだ?不満はいっぱいあるが初対面の接しなれない女性に対して文句が言えるわけもなくおとなしく地下駐車場へ移動した。
地下駐車場・・・ここはここで薄暗い。
「渡瀬徹!!おまえを会長候補としては認めない!!ここで死んでもらう!!」
「誰?なに?待て!!俺も会長候補になりたくない」
「黙れ!言い訳無用だ!!」
知らないおっさんが両手を上げると近くにあった車がぶわっと宙に浮いた。
おっさんが車を浮かせたまま近づいてくる。
「待て待てそんなのぶつけたら死んでしまうぞ」
「殺すためにやってんだ!!」
そうなんだろうけど・・・殺されるほうはたまったもんじゃない。
とりあえず俺のサイコハンドで対抗するしかない・・・があんなに重いものはちょっと無理だよな。
逃げるにしても逃げ場無いし・・・。
「そこまでよ!」
ボンッ!!!
宙に浮いた車が爆発した。
さっき部屋に来た女性が涼しい顔で立っている・・・。
「ボマー掛川(かけがわ)か!」
「爆発して死んで頂戴!!」
「させるかよ!!」
2人の間に数台の車が飛んでくる。
車が勢いよく爆発し爆音が駐車場内に響いた。
そして男はいなくなった。
「大丈夫かしら?」
「大丈夫ですけど今のは・・・」
「会長候補になってるからね。会長になって欲しくないって思っている連中からしたら先に暗殺してしまえば確実じゃない?」
「なりたくないんだけどその為に命狙われるってひどくない?」
「さあその辺はよくわかんないけど・・・そうそう、そう言えば自己紹介まだだったわね私は掛川洋子(かけがわようこ)超能力ランキング301位あなたのちょっと上ね」
「はあ・・・」
この場合自己紹介でランキングを言う意味ってある?マウント取りに来たのか?興味ないんだが・・・。
「ランキング357位の渡瀬君はこれから虎の穴の施設で1週間訓練してもらうわ」
すげーランキング言ってくるじゃんこの人よっぽど気にしてんだなランキング・・・。
「なんで訓練なんかさせられるの?」
「それは会長候補ともなればさっきみたいなやつらに続々襲われる可能性があるじゃない?必要でしょ戦闘力」
「えっあんな奴らに命狙われ続けるの?マジ迷惑なんだけど」
「しょうがないわよね。まあ会長になればSPつくから安全じゃない?」
「ずっと近くに人がいるの?それはそれで迷惑なんだけど・・・」
「じゃあ守られる必要が無いぐらい強くなるしかないわね」
「マジか・・・精霊王の件といい悪魔王の件といい何故世の中は俺を戦闘民族にしたがるのか・・・こんなに平和を愛しているというのに・・・」
「世の中が平和じゃないんだからじゃない?」
「身も蓋もないことを・・・」
そして車で運ばれ訓練所なる場所で降ろされた。
「それじゃ1週間後に迎えに来るから」
「いや、待て訓練の説明とか・・・あっ行ってしまった・・・掛川雑すぎだろ」
ボマー掛川は去って行った。
何の説明もなくどこにあるかもわからない訓練なる施設の前でぽつんとしてしまった。
山・・・緑に囲まれた風景の中に古びた建物があったのでとりあえず中に入る。
建物の中も外側に負けずボロい、そしてそのせいなのか薄暗く見える。
「ようこそ!超能力協会虎の穴へ!!」
「なぜ上半身裸のマッチョがポージングしながら歓迎している・・・?」
「この虎の穴課の課長藤本健吾だマッスル健吾と呼んでくれ!この1週間びっちりおまえを鍛えてやるから覚悟しろ!」
「覚悟の前に上半身裸に対する俺の疑問に答えてほしいんだが・・・?」
返事は返ってこなかった。
完全に無視されたようだ。
「この施設で一緒に訓練する仲間を紹介するぞ」
「えっ誰か他にいるの?マッスルだけでもお腹いっぱいなんだけど」
「そんなこと言わないで僕も仲間に入れてよね。僕は本郷亜希(ほんごうあき)よろしくね」
小柄ですっきりとしたショートカットの女子・・・かわいいじゃないか。
「よっよろしく・・・」
「渡瀬君とは仲良くやっていきたいな」
「なんで俺の名前を・・・?」
「えぇ?!ひどいなぁ同じ学校に通ってるのに僕の事知らないの?」
「えっいや・・・あの」
わからん。
こんな時相模原がいれば女子情報はすぐにわかるんだが・・・今は1人どうにもならない。
「ふーんまあいいやこれから仲良くしよ、どうせいろいろと関わるしね」
「いろいろ?」
「そっだって僕超能力者だけど精霊でもあるからさ」
超能力者にして精霊?謎だ謎の女子本郷さん・・・新たな火種にならなきゃいいけど・・・。
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