俺が精霊王です!(仮)
いつも通りお犬様たちに見送られ学校へ向かう。
「なあ俺はいつまでこの生活を続けるんだ?」
「知らんお前らが勝手に俺を見張ってるんだろ止めたきゃ止めればいい」
「でもな、おまえ絶対怪しいしな監視する価値はあるよな」
「じゃあ勝手に続けてくれ」
「お待ちしておりました。わが王」
亜里坂さんが玄関前で片膝をつき待ち構えていた。
「怖いんだけど・・・王じゃないし」
「でもそれっぽい人他にいないからさ当面は悪魔王として扱っていこうかと思ってさ」
「悪魔王渡瀬・・・やはりここで死んでもらうしか」
「まてまて悪魔王風なだけで全然悪魔王じゃないだろ今の会話だと扱いだけだぞ扱いだけ」
「まあ確かに精霊王の可能性もあるようだしもうちょっと様子を見てやるか」
「なんだろう俺悪くないのに特別に譲歩してやった感が出ててちょっと嫌なんだが」
「だいぶ譲歩だ。そもそもお前がはっきりしないのが良くない。精霊なのか悪魔なのかそれともただの人なのか?中半端に超能力とか言い出しているのも良くないな」
「超能力は事実だそこを否定するなよ」
「さあ悪魔王、学校へ行きましょう」
「その呼び方はやめてくれ」
「なんでだ?せっかく敬意を払ってやったのに」
「恥ずかしいからだ。特に悪魔王じゃなかった時に最悪に恥ずかしいからだ」
「めんどくさいやつだな」
今日は朝から会話が不毛だ。
そして放課後生徒会室、なぜか悪魔の亜里坂さんも参加している・・・これは精霊会議じゃなかったんだろうか?
それはさておきそもそも論として・・・。
「そもそも出てこないなら精霊王とか探さなくて良いんじゃない?」
「確かにそれはありですわね。精霊王を殺す手間も省けますし悪魔もそれでいいんじゃないかしら?皆さん自由にやったらいいんですわ」
「なんてことを言うの?精霊王の指示が無かったら何をしていいかわからないじゃない?」
「何もしなきゃいいじゃん」
「悪魔だって悪魔王の指示があってこその悪魔なんだぞ。とんでもないことを言い出したな」
「本当よ精霊も悪魔も王の指示が無かったら何も出来ないんだからね!その辺理解してる?」
「考える力が足りなすぎるだろ」
「なんだと!!考えてんだよ俺たちも考えてんだ!考えた結果、王の指示を待ってんだ」
これはダメだ・・・。
「わかった・・・探そう・・・探す・・・探すよ全力で探す」
「わかってくれた?良かったー」
「悪魔王が乱心したのかと思ったよ」
「発言には気をつけろよ」
「私は意外と賛成なんですけど・・・まあ探す・・・という前提で話を進めましょう」
「そもそもなんで精霊王と悪魔王は出てこないんだ?なんか思い当たる理由はないのか?」
「さあ?私も王の誕生自体が初めての事なのに出てこないとか意味が分からないわよ」
「悪魔も一緒だ。なんで王にならないんだよおまえは?」
「おれ?絶対俺じゃないと思うが・・・」
「やっぱりもう1回脱がして確認したら悪の紋章が背中にあるんじゃないか?」
「無いよ無い昨日お風呂に入った時もなかった」
「実は小さくあるとか?」
「無い」
「もう1回脱がします」
「だからなんでパンツまで脱がすんだ」
「ないわね」
「本当にないわね残念な男ね」
「常に期待を裏切りますわね」
「勝手に期待して辱めたあげく勝手に失望しないでくれ」
「本当に不思議ですわよね精霊石も相変わらず精霊王だって示しているようですし」
「でも違うのよね?」
「精霊王感はない。急に俺精霊だ!!みたいな事も起きてない」
「あー行き詰ったわ」
「何とかしろよ。お前みんな困ってるぞ!」
「いろんなことに巻き込まれて俺が1番困ってる」
「そういう考え方は良くなくってよ自分だけが困ってる自分だけが大変・・・負の思考の連鎖が続くダメな考え方ですわ」
「そもそも私らのほうがよっぽど困っているわよ当事者だし所詮他人ごとでしょ渡瀬君は」
「だよな精霊の未来がかかってるっていうのに他人事だもんな」
「本当だよ所詮他人事だもんね悪魔の都合とか全然考えてないし」
「いやいやその他人ごとに、がっつり巻き込まれてる俺の都合は?」
「俺の都合とか言い出したよこいつ」
「いやだね自分勝手でさ」
「そんな人だとは思わなかったわ」
「ちょっとだけ失望しましたわ」
もうやめよう反論するのは止めよう味方がいなさ過ぎて辛すぎる。
「ねえなんか風吹いてない?」
「何をおっしゃっているの?ここは室内よ?窓も閉まっていますし」
「そうよね。でもなんか風・・・」
ガシャン!!
「窓が割れたぞ!」
「ちょっと・・・助け・・・てぇぇぇ!」
「おい亜里坂が風に飛ばされてったぞ」
「そんなに強風だった?」
「いや、でもなんか宙に浮いてるぞ」
「悪魔だからかな?」
「ああ羽生えてたもんな」
「でもあれあくまでイメージだろ?」
「じゃあなんで飛んでるのよ?」
「だから毎回俺に聞くなと言っている。不思議現象はそっちで解決してくれ」
「あれは精霊の力ですわね」
「やっぱりお前らの問題じゃないか」
「じゃあやっぱり渡瀬君の出番よ」
「なんで?」
「当然ですわね精霊同士を争わせないためにも渡瀬君がどうにかするしかありませんね」
「いやいや2人初めすごく戦ってたじゃないか」
「ああ言うのは良くなといと思うの・・・そう思わない?」
「喧嘩は良くないとは思うけど今は状況が違くないか?」
「良いから渡瀬君なんとかしてくれるかしら?」
「いや・・・俺の主張・・・」
「良いから何とかしてくれるかしら?ほらあそこに風の精霊がいるわ」
「ああ俺の言葉が届かなくなった」
「よく見たらあれは2組の香春莉子(かわらりこ)じゃねぇか」
「お前本当に女子の情報詳しいな」
「当たり前だ!全学年全クラス頭に入っているぜ。男子は誰も知らないけど」
「いまいち自慢にならない気がする」
「えーちょっとキモイ」
「私はちょっと嫌かもしれませんね」
「相模原・・・俺も同意だ」
「俺の事は良いからお前はあれをどうにかしろよ」
「わかった。わかった。おい!亜里坂さんを返せ!!」
「返せとは?」
「返せは返せだろ」
「よくわからないけどこの子は返せないわ」
「なんでだよ?おまえのものじゃないだろ」
「私のじゃないけどあなたのものでもない」
「まあその通りだけど・・・」
「言いくるめられないで!!早く何とかして」
「でもよく考えたら悪魔と精霊って対立してるしおまえたちに助ける理由ないんじゃないの?」
「なんて酷いことを言うのよ同じ学校の生徒なのよ」
「友人を見殺しにするだなんてあなたには人の心がないのですか?」
「人じゃない人に人の心とか言われたくはないんだけど」
「でも今のあなたより人間らしい心を持っていると思わない?」
「お前最低だな人として・・・見殺しにするって・・・最低だな」
「んーごもっともすぎて言い返せない」
「じゃあとりあえず・・・【サイコハンド】」
亜里坂さんをつかみ取り返そうとする・・・が風が強くなりつかめない・
「無駄です」
「なんかすごい力だぞあいつ」
「ちょっとみんな離れてくれる?巻き込まれて一緒に死んじゃうわよ」
風の力がどんどん強まっていく。
「悪魔王・・・逃げろこいつは危険だ」
「無駄よあなたも仲間?だったら一緒に死んで」
「くそっ近づけないし手も足も出ない・・・こうなったら・・・最後の手段」
「俺は精霊王だぞ!!!俺の命令に従え!!!今すぐ亜里坂さんを解放しろ!!!」
「えっ?!結局精霊王だったの?」
「私たちをだましてたのね。許しませんわ。死んでもらいます」
「お前が王だと・・・」
「ちょっと待てお前・・・お前は悪魔王はだろ」
「まてまてその場しのぎの嘘だ。お前らが反応するな」
「えっ?嘘?」
「そんなくだらない嘘をつく人でしたの?」
「面白くないな、もうちょっと気の利いた事言えないのか?」
「別に笑いが欲しかったわけじゃないんだが・・・」
「あなたが精霊王・・・」
「はい精霊王です」
「でもなんか匂いが違う気がする」
「匂い?くっ臭い・・・?」
「割とちょっと匂うわね」
「そうですわね最近特に犬臭いですわ」
「じゃあ俺も臭いな」
「それは犬小屋で生活しているせいだと思うぞ」
「まあでも精霊席は反応する」
「でしょ?」
「でもちょっと弱い・・・偽物かも・・・」
「確かに偽物感はあるわね」
「精霊王としての品格にかける部分があるのは確かですしね」
「攻撃してみる・・・」
「まて!まて!まて!危ない!危ない!!」
「大丈夫・・・精霊王なら無傷・・・問題ない」
「大丈夫、大丈夫なんだけどやっぱり攻撃されると気分良くないじゃん?王に対して失礼って言うか・・・さ」
「失礼なの・・・?」
「そう思うよね。水無月さんもそう思うよね」
「どっちでもいいかな、死んだらそれまでの人だし」
「俺は家に帰れるしな」
「帰ればいい・・・おまえ家あるだろ」
「まあ違っていたら対精霊王の切り札がなくなるので一応困りますわね」
「一応・・・普通に困ってくれ」
「いったん保留にする・・・精霊王じゃなかったら改めて殺す」
「殺伐とするから簡単に殺すとか言わないほうが・・・」
「そう・・・殺しても良いんだけど・・・気を付ける」
「・・・そうしてもらえるとありがたい」
香春さんが急にきょろきょろ、うろうろと落ち着かない感じになっている。
「香春さんどうした?なにか気になるのか?」
「精霊石が反応している・・・複数」
なんだなんだ?複数反応ってなんだよ。
精霊王は1人じゃないのか・・・?
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