現代の普通の女子校生が大正末期にタイムスリップしてなんやかんやある話
侑李
知らない街
2020年 4月
このところ連日ニュースとなっている新型ウイルスの影響により、高校入学早々休校となって暇を持て余していた少女、時原めぐるはある日、目覚めると同時に飛び起きる。
「え、なんで、めぐはちゃんと部屋のベッドで・・・」
そう、昨夜も家のベッドでスマホで通話しながら寝落ちして・・・それがなぜ、こんな、外なんかにいるのか、まさか誘拐?!と混乱してスマホを取り出そうとするが・・・・・・
「あ、あれ?あ、充電さしっぱで寝落ちして・・・そっか、犯人が警察に電話されんように・・・うわ最悪じゃん」
それで、とりあえず体は無事なのを確認して家に戻ろうと起き上がって歩き出すが、どうも様子がおかしい。
「え、何ここ・・・誘拐犯め、全然知らんとこ連れてきやがって!それにめぐみたいな美少女さらって何もしないとは失礼な!」
めぐるは若干、自己肯定感が強めな少女であった。で、どちらにせよ早く帰らないと親に怒られる!と、どこに何があるかも分からない知らない土地でバスか鉄道でも探そうと走り出す。そしてしばらく走っているとより違和感が多くなる。
「なにこれ、家が倒れて・・・・・・え?めぐが寝てる間にこんな大きい地震が?めぐ、それでも寝てたの?」
だとしたら自分が怖くなってくるが、それは違うとすぐに分かる事となる。
その倒れた家の近くに落ちていた新聞の切れ端を拾っためぐるは戦慄を覚える。
「大正12年・・・て、大正てなんだ?あ、確かなんか、そんな昔の時代に東京とかの方で大きい地震があって大勢亡くなったとか学校で習ったっけ・・・・・・て事は?!」
確かにそうだとすれば、ここまで暗いのも、これまでにすれ違った人が何か暗い顔をして、洋服を着た人が少ない理由も納得できる。して、それを確信にかえるように1人の親切な人がめぐるに声をかける。
「お嬢ちゃん、震災があってから火事場泥棒が出るって噂だから、こんなとこひとりでいると危ないよ。親はどうしたの?」
「(ここが本当にその時なら・・・)あの、地震があった時、私は学校に行ってて、慌てて帰ってみたら家は崩れてて両親もどこに行ったか・・・・・・」
「あら・・・行くあてはあるのかい?随分ハイカラな洋服着てるけど、どっか名家のお嬢ちゃんかい?」
「(ハイカラって何?)いえ、うちは普通だと・・・あの、めぐは、私の名前は時原めぐるです。父がカナタ、母がアスミって名前です。きょうだいはいません」
「時原さんね・・・聞いた事ないねえ、ごめんねえ」
「いえ・・・(やっぱり・・・でも誰か頼らないと)それでどこの避難所行っても両親の姿はなくて・・・」
「あらかわいそうに・・・よし、おばちゃんについてきな」
「え、でもご迷惑じゃ・・・」
「なーに言ってんのさ、一番ご迷惑なのは今回の震災よ」
そう言って、半ば強引にめぐるを連れていくおばちゃんの家の方は被害が少なかったようで、とりあえず屋内に落ち着けて安堵しつつ、これからどうなるのか、現代に帰れるのか、両親にまた会えるのかと不安感が一気に押し寄せて泣き出すめぐる。
「女学生たってまだ子供だもんね、我慢してたんだね・・・いいよ、いっぱい泣きな」
「すみません・・・あの、失礼ながらおばちゃんのご家族は?」
「みんな死んじまった、一瞬だったよ。まあ助けに来るはずの消防とか軍の人らも被災してんだから無理ないやね。もしお嬢ちゃんがよかったらおばちゃんをお母ちゃんと思ってくれていいからね」
「ありがとうございます・・・あの、おばちゃんのお名前は?」
「あぁ、そういや名乗ってなかったね、私は大山ヨネ、ここで駄菓子屋をやってんだ」
「ヨネさん・・・あの、両親が見つからなかったら、ここに私を置いてくれますか?もちろんお店の仕事もお手伝いしますから」
「元よりそのつもりだよ私ゃ。だからめぐるちゃん、何も心配しないでいいよ」
「ほんと、ありがとうございます・・・」
また泣き出すめぐるを優しく抱きしめ、安心させるように大丈夫大丈夫と告げるヨネは今回の震災でめぐると同じ年頃の娘を亡くして、その姿をめぐるに重ねている部分もあった。
そしてめぐるは、ひとしきり泣いて泣き疲れてそのまま眠りにつく・・・・・・
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