お日様少女に告白したら、友達から始めることになりました! 仲を深めていたらなにやら様子がおかしいです。
檸檬水
第1話 一念発起してみた
新緑の季節になり、窓の外から吹き込む暖かい風が頬をなでる。本来なら心地良い気分になるが、俺、
「おーっす!」
「おはようございます」
来た、教室の前扉から二人の少女が入ってくる。いかにもお嬢様という言葉の似合う亜麻色のウェーブの髪を頭の後ろで編んだたれ目の少女は、
クラスの人気者の二人の登場に、教室が活気づく。男女問わずあっという間にクラスメイトに囲まれ、会話に花を咲かせている。部活の話や、昨日放送されたドラマの話、駅前に新しくオープンしたケーキ屋の話などで盛り上がっていた。すると取り巻きの男子の一人が茶化すようにこういった。
「夏原も、ケーキとか女の子っぽいのに興味あるんだな」
「うっせえな、別にうまそうだったから気になっただけだし。行きたいとかは思ってないし」
「私は、すーちゃんと行きたいけどな~」
「琴花……。よし、今度行くか!」
「天城さんが行くなら是非俺もお供させてほしいぜ」
「おめーはひとりで行ってろよ!」
「んだと、このおとこ女!」
わいわいがやがや、たいそう賑やかで何よりだ。あとお前、夏原がケーキ好きだったら逆にいいだろうがよ。美味しそうにケーキをほおばる夏原、見たいじゃねえかよ。そんなことを思っていると、突然天城が輝くような髪をなびかせて席を立つ。
「ごめん、私そろそろ行かないと」
「おっ、そういやそうだったな。涼音がついていかなくて大丈夫か?」
「うん、今日の人は多分大丈夫、朝だし、人通りもあるしね」
「おっけー! じゃ頑張ってね!」
「うん。行ってくる」
すっかり見慣れた光景が目に映る。というのも毎日のように天城は誰かに呼び出されて席をはずす。それを心配した夏原が付き添うかどうか確認するのもほぼルーティーンと言っても過言ではない。天城がいなくなってしばらくたち、ホームルームが始まる時間が近づき、みんな席に戻っていく。そんな、夏原が一人になったタイミングを見計らって声をかける。
「夏原、おはよう」
「お、珍しいな、日向か! おっす!」
ひまわりのような笑顔を大して話したことない俺にも向けてくれる彼女に食らってしまう。何か用があるのかと、首をかしげて俺の言葉を待っている彼女に意を決して尋ねた。
「なあ、今日放課後少しだけ時間もらってもいいか?」
「どうだろうなー。琴花、今日も呼び出しあるから厳しいかもな」
何を勘違いしたのか、天城への告白と思われたらしい。実際、親しみやすい夏原に天城への告白の場をセッティングしてもらうというのは常套手段らしいが、今回はそうではない。
「いや、俺が用があるのは夏原なんだが」
「そっか~、涼音にか~って、え?」
「夏原も用事あるのか?」
「いや、えっと、部活あるからそのあとなら……」
「そっか、じゃあ終わるまで教室で待ってるな。」
「あ、うん……」
ややしおらしい夏原をよそに、じゃ、と言って言いたいことだけ伝えきった俺は自身の机に突っ伏した。思わず机の下でガッツポーズをしてしまう。そう、俺は今日夏原に告白をするつもりだ。
今までは所属するサッカー部の活動が忙しく、あまり自身の気持ちと向き合えなかったが、先日行われた試合で怪我をした俺は、部活を休み、この恋心と向き合うことにした。すると、思っていた以上に膨らんでいた夏原への気持ちに気が付き、今回行動に移したというわけだ。
それにしても、夏原の不意打ちの笑顔でおどおどとしてしまった自分を振り返り、情けなくなる。なんだこいつ早く要件言えよとか思われなかっただろうか、いや、あの、明朗快活な夏原さんがそんなこと思うわけないだろ、ふざけんなよ、俺。
と、思考が堂々巡りしている間にチャイムが鳴った。ともかく、あとは最後までやり切るだけだ。気張ってこう。そんな気持ちを胸にいつのまにか始まっていたホームルームに気持ちを切り替えた。
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はじめまして!檸檬水と申します!
今回からカクヨムにて小説の執筆をさせていただきます。小説執筆に関しては何分初めてなもので、つたない部分も多いとは思いますが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです!
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