隣の席が女子である。これは貴重なこと

しおこうじ

前置き

僕が公立の中学にいたころ、女子が席隣りなのはごく普通のことだった。さして

「我横女子有」とひらがなバルスで喜んだりなどしなかった。

僕はラノベをよく読んだ。図書館のカウンター、文化祭のロミジュリ劇、幼馴染。

これっぽちも可能性が皆無なシチュエーションに憧れていた。


当時の僕は「ひねくれ、陰で皆を助ける、無口、死んだ目」の系統を持つラノベを読み漁っていた。当然、中二病、思春期の属性を持つ一人の中坊は真似をした。

そうして貴重な中学二年間を「隅っこで本を読み、にやにやと笑うヤツ」で過ごしておりました。中3で「高校デビューしたるんじゃい」と心の桟橋で決めました。

デビューの仕方ならもう知ってる。頼れる参考書(ラノベ)を読んだからね。HA!

ほらよくあるじゃん

「記憶が残って高校にタイムリープ、彼女作ってウハウハ生活送るんじゃい」的な

ヤツ。

そうして決めた志望校は「高校」ではなく「高専」だった。

理由はシンプル。テストが無く面接だけでよかったから。

その頃の僕は「っま、高専なんて高校とかわんねーよ。NAHAHAHA!」と

考えていた。


入学してからわかったこと。

「修学旅行無、遠足あり、新入生のオリエンテーションあり、女子少」

うん、、、?

遠足は、校内巡りだった。徒歩だった。同中のやつは万博だった。バスだった。

オリエンテーションはグループディスカッションだった。

中学の頃は一泊二日で県外だった。

修学旅行無、、、「ココはTOYAMAなんですか!?」(富山の人すみません)

「いいやまだだ。まだあきらめちゃあならん。教室で隣の女の子ときゃっきゃウフフのトークタイムが背油たっぷりまってるぜ。」

確かに油はありました。脂汗がありました。

季節は春。けれども今はキリストがうまれて二千年。21世紀に春はない(秋もない)。あるのはナッツとふっゆだけ。ここは高専。そう高専。

男女比率が逆吹奏楽。ここじゃ女子の入部を大歓迎。

チャイムが耳に入ると同時に廊下を爆走しだした男ども。教室に入るころにはアッツ暑。さながらエンジンを冷却するオイルのように脂汗が放出されていた。

クラスメイトには、冬から代々受け継がれてきたウイルスをみなさんに配ってくれる、鵜入巣くん。スマホが大好き琵理亜琉くん。窓辺でグミの光合成を狙う具実くん。彼のせいで蟻がわいたこと今でもちゃんと覚えてます。

そんな高専に入って思ったのは隣席が女子って有難いことだったんだなということです。よく国語の先生が離任式とか卒業式とかにいう「有難い」のほんとの意味の有難いってやつをその時に思い知りましたよ。


自信が持てないモテない男。それならば日々抱く、存在しない女子との輝いた記憶(妄想)をラノベもどきもどきとして書こう。それで飽きたころに読み返して鼻で笑おうと思った。のでカタカタと文字を打ち込んでいきます。

正直、これが「~出版社に声をかけられたら」とか「読者が10万人を超えた」になるかもとか思ってやってます。ま、やるたけやってみます。




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