第48話 チート生産? まさかの農奴スタート! そして、夢は世界を創り続ける

『世界調和装置』の起動と、ミオの深い眠りから数日。

『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も空をゆったりと移動しとったわ。

世界は、見事に再生されとる。次元の歪みも消え去り、空は澄み渡り、大地は豊かな緑を取り戻しとる。

(うわぁ、世界平和って、ほんま簡単に実現するんやなぁ!うち、天才かもしれへん!)

ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。

資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。ひんやりと、そして柔らかい感触が、ミオの心を癒す。


アークスは、ミオの工房の技術顧問(お菓子食べ放題!)として、工房で「生産」を手伝うことになったんや。

彼は、相変わらず世界の「再構築」について熱弁しとるけど、ミオが作る美味しいお菓子には勝てへんかったみたいやな。

資材スライムたちが、アークスの周りを嬉しそうに飛び跳ね、彼が破壊しようとしたものをモグモグ片付ける。

アークスは、資材スライムたちに振り回され、どこか生き生きとしとる。

「ぐぬぬ……甘い!甘すぎるぞ、だがそのお菓子は最高に甘い!」

アークスのセリフも、もうすっかり工房のBGMみたいになってたわ。


世界は、ミオの生産技術によって、新たな時代を迎えたんや。

各国、各勢力は、それぞれ新たな道を築き始めた。

ライオスたちは「暁の剣」として世界の平和をゆるやかに守る英雄に。

シエラは「美味しいもの情報ギルド」を設立し、世界中の美味しいものを探しとる。

フィオナは世界中の病人にお菓子を配る活動に尽力しとる。

アルフレッド王子、リリアーナ王女、ルナリア姫も、それぞれの立場で新生の世界をゆるやかに導いている。


資材スライムは、ミオの生産と魔力の活性化により、さらに増殖した。

彼らは、王都の工房だけでなく、世界各地の工房や農場に「派遣」されるようになったんや。

資材スライムたちが、各地の生産を助けている様子が描かれる。

例えば、ドワーフの鍛冶場では、銀色のスライムが鉄を精錬し、ゴルムはんが「まさか、スライムが儂の技術を超えるとは!」と頭を抱えとる。

エルフの森では、緑色のスライムが植物の育成を助け、エリアスが「これは、まさに奇跡だ!」と目を輝かせとる。

獣人の集落では、資材スライムが新たな薬草を見つけ出し、タオが目を丸くしている。

彼らが集まると、その場所が「ちょっとだけ」豊かになるという伝説が生まれたんや。

「あのぷるぷるした可愛い生き物が来ると、作物が豊作になるらしいぞ!」

そんな噂が、世界中に広まり始めた。


そんな平和な日常の中で、世界にはまだ解決すべき「ちょっとした」問題や、ミオの「究極の生産」が求められる場所がたくさんあったんや。

世界各地からの新たな依頼が、工房に届く。

「ミオ様!もっと美味しいパンを!我が国の特産品として!」「自動で洗濯してくれる服を開発してくだされ!貴族の館の洗濯担当が困っております!」

未発見の素材の報告も、毎日届く。その中には、資材スライムたちが「ぷるる~!これ、美味しいぷる!」と喜ぶような、珍しい素材もあったんや。

そして、「次なる転生者の噂(なんだか面白いやつらしい)」なんて話も、たまに耳にするようになった。もしかしたら、アークスはん以外にも、転生者がおるんかもしれへんな。


ミオは、工房で、相変わらずものづくりに勤しむ。

彼女の生産は、もはや単なる便利品作りではない。世界の未来をゆるやかに創造する行為へと昇華されているんや。

(必要かどうかちゃうねん。作りたいから作る!それがうちのロマンやねん!この世界、うちの創造力でどこまで面白うなるやろ!?)

ミオは、にっこり笑いながら、新しい魔道具の設計図を広げていた。その瞳には、尽きることのない好奇心が輝いている。


工房の片隅では、資材スライムたちが、ミオの作ったアイテムを使って、楽しそうに遊んでいる。

例えば、魔法電子レンジで温めたクッキーを、魔法水洗トイレで冷やそうとして、ミオに怒られたり。

その傍らには、ミオの技術を受け継ぎたいと願う、アルティ村からやってきた少年(ティナの弟のリュウや)の姿があった。

リュウは、ミオが昔使っていた『天穿鍬ヘヴンブレーカー』のミニチュア版を手に、真剣な顔で畑の土を触っている。彼の顔には、師であるミオへの尊敬の念が浮かんでいる。

資材スライムが、リュウの周りで嬉しそうに遊び、素材を提供している。リュウが土を掘ると、緑色のスライムが「ぷるぷる!」と珍しい根っこを吐き出し、リュウは目を丸くする。

リュウが持つ粗末な木製の農具の柄は、かつてミオが初めて作った『天穿鍬ヘヴンブレーカー』の柄と同じ、特別な由来を持つ木(世界樹の欠片が宿る古木)であったことが、微かに示唆される。この木は、世界樹の雫が採れたダンジョンで、資材スライムが見つけてきたものや。

リュウがその農具に触れた時、ミオの能力の代償「眠気」が変質して残した、彼女の記憶や創造の“微かな光”を感じ取る。

「この鍬、なんだか温かい……そして、とっても美味しい匂いがする!」

リュウがそう呟くと、資材スライムたちが「ぷるる~♪」と嬉しそうに跳ねた。


遠くの空には、ミオの工房の技術が応用された「空中都市」の影が見える。それは、王都のビル群よりも遥かに高く、優雅に浮かんでいた。

ミオの物語は、どこまでも続いていく。

ミオは、今日も夢の中で、未来の美味しいお菓子のレシピを創造している。

物語は、ゆるやかに続く。

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ミオ×スラ冒険譚 ーくってつくってくいまくるー 五平 @FiveFlat

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