第38話 創造主のゆるい試練と新たな使命?

『世界の外側からの声?いや、ただのご挨拶』から数日。

『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も空をゆったりと移動しとったわ。窓から差し込む陽の光が、船内を明るく照らしとる。

ミオの工房は、文字通り「動く世界の中心」や。

(うわぁ、世界平和って、ほんま簡単に実現するんやなぁ!うち、天才かもしれへん!)

ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。

資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。


あの時、真っ白な空間で出会った「上位存在」と名乗る、どこか暢気な神様。

彼は、うちが「創造主の代行者」やとか、「究極の生産」能力は世界のバランスが崩れた時に転生者として召喚されたとか、色々言うてたな。その声は、うちの頭に直接響いてくる、不思議な感覚やった。

しかも、これまでの「模倣品のドタバタ」や「資源不足」も、神様が仕掛けた「ちょっとした調和の調整」やったらしいわ。

(えぇ~?うちの周りで起きてたドタバタって、全部神様の気まぐれやったん!?そんで、それが「調和の調整」とか、めっちゃ大袈裟やん!)

ミオは、あまりの事実に、頭がクラクラした。

「君の能力は、この世界に良い影響をもたらしたよ。でもね、世界にはまだ『ちょっとした』課題が残っているんだ」

上位存在の声は、どこか楽しそうやった。その声には、ミオへの期待が込められている。


その「ちょっとした」課題ちゅうのが、次元の壁の「ほんの少しの」綻びや。

未確認のエネルギーが流入して、ごく軽微な世界の変質が起きとるらしいねん。

空には、まるでガラスが割れたみたいなヒビが入ることがあったし、地面が勝手に陥没したりもした。

このまま放置すると、世界が「ちょっとだけ」困ることになるかもしれへん、とのことや。

それを正すために、うちに「ゆるやかな再創造」に近い大規模な生産を要求しとるんや。


「それに、アークスくんも、本当は君と同じ『創造主の代行者』の一人だったんだよ。ただ、ちょっとね、過去に要領が悪くて失敗しちゃって、絶望から『破壊』の道を選んじゃったのさ。ワタシたちが『ちょっと間違って送り込んじゃったかなー、テヘペロ』って感じだね」

上位存在は、アークスのことを、まるで失敗作の子供みたいに説明する。その口調には、どこか悪気がない。

(えぇ~!?あんなにシリアスな顔しとるのに、神様の手違いなん!?アークスはん、めっちゃ可哀想やん!)

ミオは、アークスの残念な過去に、ちょっとだけ同情した。


王族や冒険者、魔族、学者、職人……。

みんなに神様からの「ゆるい試練」と「新たな使命」を説明したった。

「えぇ!?神様からの依頼!?」「まさか、そんな大役をミオさんが!?」

みんな、驚きと興奮で目を輝かせとる。その顔は、まるで子供のようや。

ライオスは、拳を握りしめ、「神様からの試練なら、燃えるぜ!」と叫ぶ。

シエラは、冷静ながらも、その瞳には探求心が宿る。

フィオナは、ミオの顔を心配そうに見つめる。

ルナリア姫とリリアーナ王女は、目を輝かせながらミオを見ている。

「ミオよ!神様のお菓子はどんな味なのだ!?」

「わたくし、神様の試練、拝見させていただきますわ!」

ゴルムはんは、資材スライムの能力に、改めて感心しとる。

エリアスは、上位存在からの情報を熱心にメモしとる。

資材スライムたちも、ミオの周りで「ぷるぷる~っ!」と嬉しそうに跳ね回る。

資材スライムは、上位存在の周りを不思議そうに飛んだり、体の一部をモグモグしようとしたりしとった。

上位存在は、資材スライムたちの行動に、amused(面白がる)といった様子で、キラキラと輝いていた。


新たな生産に必要なのは、この世界の常識では手に入らへん「次元の狭間」に存在する「ちょっと珍しい」素材やった。

ミオは、フロンティア号の資材庫で、設計図を広げる。

(次元の狭間の素材かぁ……。どんなんやろ?美味しいんかなぁ?食べられるスライムもおるんかなぁ?)

ミオは、ちょっとだけワクワクした。その瞳は、新たなロマンを見つけたかのように輝いている。

「よし、スライムはん!試練に必要な特殊素材、モグモグして探しといてな!」

資材スライムたちは、嬉しそうに「ぷるるるるーっ!!」と返事をして、素材を探し始める。

彼らは、上位存在が与えた「試練」に必要な特殊素材を、どこからか見つけてきてくれるんや。その素材は、この世界には存在しない、奇妙な輝きを放っているものもあった。


「さあ、ミオ殿。君の『ゆるやかな再創造』の物語を、始めようじゃないか。きっと、面白いことになるよ」

上位存在の声が、ミオの頭に響き渡る。その声は、ミオの心を優しく包み込む。

ミオは、またしても世界を救う大役を背負うことになったんやけど、どこか暢気な上位存在の態度を見て、ちょっとだけ気が楽になった。

(まあ、神様もこんな感じやったら、なんとかなるやろ!それに、面白いことになりそうやし、ロマンやん!)

ミオは、そう思いながら、フロンティア号の操縦桿を握りしめた。彼女の指先には、操縦桿の冷たい感触が伝わる。

フロンティア号は、新たな使命を胸に、王都の空へと上昇していく。

窓からは、輝く王都の街並みが、まるでミニチュアのように小さく見えた。

そして、フロンティア号は、未知の領域へと旅立ったんや。

ミオの『究極の生産』能力が、いよいよ世界の、いや、次元のバランスをゆるやかに整える旅に出たんやな。


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次回予告


まさかの次元の狭間へ、ゆるふわ素材探索の旅へ出発やで!

資材スライムはんたちは、未知の領域でどんな活躍を見せるんやろ!?

そこで待ち受けるのは、一体なんやろか!?

次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?


第39話 次元の狭間のゆるふわ素材探索


お楽しみに!

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