第37話 世界の外側からの声?いや、ただのご挨拶

世界会議でごく軽微な環境問題を解決し、アークスはんともゆるふわに和解してから、数週間が経ったんや。

『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も王都上空をゆったりと移動しとったわ。

ミオの工房は、文字通り「動く世界の中心」や。

(うわぁ、平和ってほんま最高やなぁ!このままのんびり引きこもりライフ、満喫したるで!)

ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。

資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。


工房には、王族や魔族、冒険者、学者、職人……。

みんなが毎日入れ替わり立ち替わりやってきて、賑やかやった。

アークスはんも、工房の技術顧問として、お菓子を食べながら資材スライムと謎の交流を深めとる。

「なぜワタシの破壊の力がこの粘液に吸収されるのか!」

アークスは、真剣な顔で資材スライムを見つめる。

「ぷるる~?」

スライムたちは、アークスの周りで、破壊の魔力をモグモグしながら首を傾げとる。

(ほんま、平和な風景やなぁ……)


そんなある日の昼下がり。

ミオは、工房の縁側で、資材スライムたちと日向ぼっこをしとった。

焼きたての『魔力メロンパン』をモグモグしながら、うつらうつら。

(あー、平和やなぁ……このまま、ずーっと寝てたいわぁ……)

心地よい眠気が、ミオを包み込もうとしていた。


その時だった。

工房全体が、突然、まばゆい光に包まれたんや。

空中に、無数の光の粒が舞い散る。その光は、まるで星屑みたいにキラキラ輝いている。

資材スライムたちが、その光に反応して「ぷるるるるるーっ!!」と嬉しそうに跳ね回る。

ミオの意識が、光の中に吸い込まれていくような感覚に襲われた。

(ん?なんか、眠くなってきた……。でも、これはいつもの眠気とちょっと違うような……)

体がふわふわと浮き上がるような、不思議な感覚や。

ミオは、心地よい浮遊感に包まれながら、うっすらと意識を手放した。


次に目覚めると、ミオは真っ白な空間に立っていた。

そこには、家具も何もない。ただ、果てしなく続く白い空間や。

目の前には、光り輝く巨大な存在が浮かんどる。

それは、形を持つような、持たないような……。

まるで、宇宙そのものが意思を持ったような、不思議な感覚やった。

その存在から、どこか暢気な声が響いてきたんや。

「やあ、久しぶり。君が、今回の『創造主の代行者』だね」


(えぇ~!?創造主の代行者!?うち、引きこもりたいだけやのに!なんでこんなことになってるん!?)

ミオは、目を丸くして困惑した。頭の中が、疑問符でいっぱいになる。

「ワタシたちは、この世界の理を司る『上位存在』だよ。君が持つ『究極の生産』能力は、かつて世界を創った『創造主』の力を一部受け継いだものだ」

上位存在の声は、ミオの頭に直接響いてくる。声には、優しさと、どこか達観したような響きがある。

「この世界のバランスが『ちょっとだけ』崩れた時、ワタシたちは君のような転生者を召喚するんだ。これまでの『模倣品のドタバタ』や『資源不足』も、実はワタシたちが仕掛けた『ちょっとした調和の調整』だったのさ」

上位存在は、そう言って、フフ、と笑ったように見えた。その声は、まるで悪戯が成功した子供みたいや。


(えぇ~!?うちの周りで起きてたドタバタって、全部神様の気まぐれやったん!?そんで、それが「調和の調整」とか、めっちゃ大袈裟やん!)

ミオは、あまりの事実に、頭がクラクラした。

「君の能力は、この世界に良い影響をもたらしたよ。でもね、世界にはまだ『ちょっとした』課題が残っているんだ」

上位存在の声は、どこか楽しそうや。その声には、ミオへの期待が込められている。

「次元の壁に『ほんの少しの』綻びが生じていてね。未確認のエネルギーが流入し、ごく軽微な世界の変質が起きているんだ。このまま放置すれば、世界が『ちょっとだけ』困ることになるかもしれない。これを正すために、君に『ゆるやかな再創造』に近い大規模な生産を要求したいんだ」

上位存在は、そう言って、ミオに新たな使命を言い渡した。その声は、まるで新しいゲームのクエストを提示するみたいや。


「それに、アークスくんも、本当は君と同じ『創造主の代行者』の一人だったんだよ。ただ、ちょっとね、過去に要領が悪くて失敗しちゃって、絶望から『破壊』の道を選んじゃったのさ。ワタシたちが『ちょっと間違って送り込んじゃったかなー、テヘペロ』って感じだね」

上位存在は、アークスのことを、まるで失敗作の子供みたいに説明する。その口調には、どこか悪気がない。

(えぇ~!?あんなにシリアスな顔しとるのに、神様の手違いなん!?アークスはん、めっちゃ可哀想やん!)

ミオは、アークスの残念な過去に、ちょっとだけ同情した。


資材スライムたちが、上位存在の周りを不思議そうに飛んだり、体の一部をモグモグしようとしたりする。

「ぷるる~?」

資材スライムは、上位存在の放つ、この世界にはない特殊な魔力に興味津々や。

上位存在は、資材スライムたちの行動に、amused(面白がる)といった様子で、キラキラと輝いた。まるで、可愛いペットを眺めるみたいや。

(ほんま、スライムはんも物好きやなぁ……でも、こんな神様みたいな存在に懐くなんて、うちの子ら、めっちゃ優秀やん!)

ミオは、そんな資材スライムたちの様子に、ちょっとだけ和んだ。


「さあ、ミオ殿。君の『ゆるやかな再創造』の物語を、始めようじゃないか。きっと、面白いことになるよ」

上位存在の声が、ミオの頭に響き渡る。その声は、ミオの心を優しく包み込む。

ミオは、またしても世界を救う大役を背負うことになったんやけど、どこか暢気な上位存在の態度を見て、ちょっとだけ気が楽になった。

(まあ、神様もこんな感じやったら、なんとかなるやろ!それに、面白いことになりそうやし、ロマンやん!)

ミオは、そう思いながら、再び意識を失った。

この世界の真実と、ミオの新たな使命が、今、明らかになったんやな。

工房の縁側で、ミオが心地よさそうに眠っている。その寝顔は、安らかで、まるで夢の中で美味しいものを食べているかのようだった。


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次回予告


まさかの神様からの直接依頼で、世界を再創造!?

次元の狭間に眠る「ちょっと珍しい」素材を探しに、フロンティア号で冒険に出るで!

資材スライムはんたちは、未知の領域でどんな活躍を見せるんやろ!?

次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?


第38話 創造主のゆるい試練と新たな使命?


お楽しみに!

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