第24話 世界を繋ぐ生産者

『生産型移動要塞『フロンティア号』』での旅は、ほんま快適やったわ。

ミオの工房は、文字通り「動く楽園」や。

王国の各地を巡って、ミオの作る『奇跡の野菜』や『魔法の保存食』を分け与えとる。

おかげで、行く先々でみんなが笑顔になってくれるから、ミオも嬉しいんや。

(あー、平和やなぁ。これがうちの求めてた引きこもりライフやで!)

ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。

資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。


フロンティア号の船内は、もう完全に「異世界版・夢のマイホーム」や。

ライオス、シエラ、フィオナの「暁の剣」パーティは、ミオの作ってくれたチートアイテムのおかげで、Sランク冒険者も夢やないくらいに強なっとる。

ルナリア姫とリリアーナ王女は、毎日工房に遊びに来ては、ミオの作る絶品スイーツに舌鼓を打っとる。

ドワーフのゴルムはんは、資材スライムの加工能力に毎日頭を抱えとるけど、その技術を何とか自分のものにしようと、必死に資材スライムたちを観察しとる。

エルフの学者エリアスは、工房の書庫にこもって、古代文明の謎と、ミオの能力の秘密を研究しとった。

資材スライムたちは、みんなに懐いて、あちこちで「ぷるぷる~♪」と可愛らしい音を立てて跳ね回っている。


ミオの「究極の生産」能力は、王都、辺境、魔族領、そして隣国との間にも平和的な交流をもたらし、世界に新たな価値観を広げていったんや。

ミオの工房は、もはや王都の一工房ではなく、様々な種族と技術が集まる、異世界の中心地となっていった。


そんな工房には、今日も新たな依頼、新たな発見、そして新たなドタバタが彼女を待っていた。

各地を巡るフロンティア号には、毎日、各地からの使者がやってくる。

「ミオ殿!この地の土壌を豊かにしてくだされ!」

「ミオ様!この病を治す薬を!」

「新しい魔導具を!もっと効率的なものを!」

依頼はひっきりなしや。

ミオは、そんな依頼を「しゃーないなぁ」とぼやきつつも、資材スライムと協力して、サクッと解決していく。

資材スライムたちは、ミオの生産と魔力の活性化により、さらに増殖しとる。

工房の中は、色とりどりの資材スライムたちが大群となって、ぷるぷる跳ね回り、賑やかさが増しとる。

銀色のスライムが、王都の貴族からの依頼で、高価な装飾品を磨いていたり。

緑色のスライムが、魔族の里からの依頼で、巨大な植物をミニチュアサイズにして運んでくる。

金色のスライムが、工房のテーブルで、キラキラ光る魔力お菓子を勝手に作って、みんなに配りまくっている。

(うわぁ、可愛いなぁ!……って、ちょっと増えすぎちゃうん!?)

ミオは、嬉しいような、困ったような顔で、資材スライムたちを見つめた。


ある日、フロンティア号は、王国の国境付近にある、荒廃した土地に立ち寄った。

かつて魔物が出没し、誰も近寄ろうとしなかった場所や。

そこの村は、人々が怯え、作物は育たず、完全に活気を失っていた。

「ミオさん、この村は、昔から魔物の被害がひどくて……」

ライオスが、悲しそうな顔で説明する。

「こんな荒れた土地で、生活できるんやろか?」

フィオナが、心配そうに村人たちを見つめる。

シエラは、静かに周囲の魔物の痕跡を探っている。


ミオは、村の畑を見て、首を傾げた。

(なるほどなぁ……ここも、土壌がめちゃくちゃやん。これじゃあ、作物も育たへんわ)

ミオは、アイテムボックスから『天穿鍬ヘヴンブレーカー』を取り出した。

そして、土色の資材スライムたちに指示を出す。

「スライムはん、ここの土、最高の状態にしといてな!」

資材スライムたちは、嬉しそうに畑へと飛び出し、土をモグモグとかじり始めた。

天穿鍬ヘヴンブレーカー』の光が畑全体に広がり、荒れた土はみるみるうちに肥沃な黒土へと変わっていく。

村人たちは、その光景を見て、目を丸くして驚いた。

「な、なんだと……!?畑が、一瞬で……!」

そして、ミオは、アイテムボックスから『超成長野菜の種』を取り出し、畑に蒔いた。

数時間後、畑には、色とりどりの野菜が、所狭しと実っていた。

村人たちは、その奇跡に、涙を流して感謝した。

「ミオ様!あなたは、この村の救世主です!」

「もう、これで飢える心配はない!」

ミオは、そんな村人たちの感謝の言葉に、ちょっと照れた。

(別に必要かどうかちゃうねん。作りたいから作る。それがうちのロマンやねん!)

ミオは、そう思いながら、また資材スライムをモフモフした。


フロンティア号の旅は、王国の隅々まで続いた。

ミオの工房がもたらす『奇跡』は、各地で小さな革命を引き起こしていく。

魔力の偏りが原因で病に苦しむ人々には、『奇跡の回復薬』。

老朽化した街並みには、資材スライムが精錬した、頑丈な建材。

汚れた水場には、浄化作用のある魔導具。

行く先々で、ミオと資材スライムたちは、みんなを笑顔にしていった。

資材スライムたちも、旅を通じて、どんどん新しい素材の味(?)を覚え、種類も増えていく。

空飛ぶスライム、水中のスライム、熱に強いスライム……。

彼らは、ミオの生産活動を、より一層効率的で楽しいものに変えてくれたんや。


ミオの工房は、もはや単なる引きこもり場所ではなく、世界を繋ぐ生産者として、異世界の未来をゆるやかに創造しとったんや。

王都の空には、フロンティア号の巨大な影がゆったりと漂い、その存在は、この世界の新たな希望の象徴となりつつあった。

第2部が終わり、ミオの物語は、いよいよ世界規模の「ちょっとした」課題へと向かうことになるんやな。

でも、ミオは、そんなこと、まだ知る由もなかったんや。

彼女は、今日も工房のソファで、資材スライムをモフモフしながら、次の美味しいお菓子のレシピを考えていた。


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次回予告


世界中で、うちのチート生産の噂が広まってるで!?

世界規模の会議で、うちが顧問に!?

資材スライムはんたちも大増殖して、工房の中はてんやわんや!?

世界に隠された「ちょっとした」問題が、ついに明らかになるんやろか!?

次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?


第25話 世界会議とちょっとした環境問題


お楽しみに!

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