複眼
何百もの星は消えてしまった。
熱く、揺らめく
橙色のあの星は。
火薬の匂い。煙が浮かぶ。
ジジ...と浮かぶ揺らめく炎。
燃え移る。
身にも心にも。
こぼれた煤が蝋に浮く。
あの何百もの光に魅せられ寄せられる。
光が私の道標。
陽の光でもないはずなのに。
暗闇の中の数多の星は、
優しく絡み、身を焦がす。
黒く染まるは薄羽か。
崩れて消えるは触覚か。
ちぎれて燃えるはこの脚か。
浮かんだ煤は記憶の端か。
夢のような瞬間と
火に染まる視界とが、
重なり合って溶け合った。
穏やかに
揺らめき照らす
蛾の楽園。
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