陽炎

夢でもない。

これは、夢の中。

揺らぐ現と、煮詰まる夢のその狭間。


身の線が解けていく。

潰れた蛹から、臓腑が流れていく。


窓に挟まれ干からびたトカゲの白骨のように。

蟻に運ばれ消えていく蜘蛛の吸殻のように。

いつかは羽もちぎれ、足ももげ、

床を這いずり回り死んでいく。


まるで、百足の夢の夢。

揺らぐ地面は蚊柱か。


それは蜘蛛の夢の裏。

生暖かい毒でまどろんだ。


陽炎の隅に溜まる死骸は蝿の王。

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