Day28 西日

 午後六時半。

 床を這う虫にシュッとひと噴き、死骸が転がる。殺虫剤の缶を置くと、彼女は手を合わせ、念仏をとなえる。俺はそれをソファに寝そべりながら眺める。

 彼女は虫を殺すとき必ずそうする。立ち上がり、窓から入る西日に包まれている彼女は、逆光で顔が見えない。

 まるで金色の後光が差しているようだと思う。

 果たして彼女は菩薩か鬼か。

 俺には見当がつかない。

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