029 価値が無くてもレアというだけで価値がある魔法の言葉

 強化魔法で敏捷を上げた効果もあるのだろう。探索は順調に進み、すぐに待機部屋を見つけることができた。


 2人にかけ続けても回復量が上回るようで。これで敏捷が10程度上がるならかけ得だな。


 その分ウォーターボールは撃てないけど、そのうち武器にMP吸収をつけるとしよう。[3]以上のオリハルコンか[4]以上のミスリルの武器が欲しい。


 ボス部屋に入って、出現したボスにまずは一発ファイヤーボールをぶちかましてやる。


 近付きながら鑑定をするとフタクチオオヅナLv3と表示された。


 見た目は両端を結ばれた長く太い綱で、結び目が大きな口になっている名前通りの見た目なようだ。


 グレイブガードキーパーはともかく。ウッドピラーファンガスやウォールノッカーは姿に共通性があったけど。マリオとネッドはどこに行ってしまったんだろう?


 一応口は2つあるけど、共通点は糸?やはり操り糸の方が本体だったのだろうか。


 ファイヤーボールとウォーターボールが命中し、バッシュを2回打つとボスが消滅を始めた。


 いや、早すぎるな。まだスティールもできていないしボス戦はスキルを封印するべきか?でもせっかく使えるのにわざわざ苦労する必要も無いか。アイテムが欲しければ周回したらいいしな。


 ボスのいた場所に、綿糸とアメジストに混じってブローチが落ちていた。


「おお!?レアドロップ?神様ありがとう!」


 鑑定でアメジストの銅のブローチ[3]と表示され、値段には期待できないけど初の装備ドロップだ。思わず感謝を捧げてしまう。


 いると分かると現金なもので、少しは印象を良くしようと思えるのだから。宗教が道徳の普及に役立ったというのも本当なんだと、今なら実感できる。


 今のところ、いいことがあった時に感謝するくらいだけど。ウトラも寝起きや食前に、祈りを捧げている様子もないから、これくらいでいい気がする。


 膝をついて祈りを捧げるとなると。神像ではなく、ノートパソコンが思い浮かぶようになってしまったので、そこまではする気にならないんだよな。


 このブローチ数字が3もあるけど、マテリアを装着する気にはならないし。売っても大した値段にはならない。様子を見てウトラにご褒美としてあげようかな。


 気分も上々に、次の階層へと進んで。軽快な足取りで、警戒心も緩く通路を進んで行く。なんだか森の香りが減った気がするな。


 4階層で新たに出会ったのは、丸く大きな耳を持った食用ウサギ。いや、顔つきはネズミか?


 鑑定によるとトベソナネズミLv4らしい。確かに自分の体よりも大きい丸い耳を持っているから、羽ばたけば飛べるかも知れないけど。重すぎるのか動かす様子は無く、ズルズルと地面を引きずってこちらへ走ってきた。


 まずは攻撃回数の調査だと、スキルを使わずに戦ってみる。


 ネズミだけあって動きは早かったけど。狙いやすい耳があるので攻撃するのは問題無い。位置が低いから少し戦いにくいくらいか。


 4回目の攻撃で倒せたので、必要回数が1回増えているな。


 次に出会った魔物にバッシュを打ってみたけど、やはり1発では倒せなかった。追撃でファイヤーボールを撃てば倒せたけど、消費が倍近くになるんだよなぁ。


 初撃でファイヤーボールを入れるか、追撃で通常攻撃を入れるかだな。追撃でファイヤーボールは無しだ。熱風が自分にまで返ってきて熱かった。


 近距離で戦いながら使うならウインドボールの方が使いやすそうだ。ウォーターボールだと水が飛び散る。


 アイスボールだと氷の欠片が床に散らばりそうだし、アースグレイブはトゲが残る。となると1番使いやすいのはサンダーボールか?電流が敵の身体に流れるなら、周囲に飛び散る事はないだろう。


 まぁ、そんな事を気にしながら戦うならレッドエリアでいいか。あれは自分に影響なかったし、数発で倒せるのは今だけだろうしな。


 敏捷強化の魔法のおかげか。素早いトベソナネズミの攻撃も楽に避けれるし、この階層も問題なさそうだな。


 足元を狙って噛みつかれると、体高が低いので反撃が大変だけど。ジャンプして引っかいてくる時は、耳が広がって攻撃しやすくなるから、そこを狙って反撃するのがよさそうだ。


 落としたアイテムはネズミの肉と皮。名前的には食べる気はしないけど、見た目ウサギと変わらないし前に食べた時はそこそこ美味しかった覚えがある。


 そのくせ、値段はミミズと一緒なんだよな。量が全然違うとはいえ、あれと一緒なのはせない。もう少し高くてもいいと思う。


 ある程度探索が進んだ所で、腹が空腹を伝えて来た。そろそろ昼飯を食べる店に行くとしよう。


 王都に飛んで、王城から離れる方向へしばらく歩くと。にぎわっている店を見つけたので中へと入る。


 壁にかかったメニューを見て、大鋏おおばさみのミソ仕立てという料理を頼んだ。


 ただ、このミソに関しては答えを知っているんだよな。味噌と醤油を探した時に検索で引っかかったんだよ。


 ミソはミソでも見た目はウニの内臓の方だ。まぁそちらもそちらで美味いからいいのだけど、画像を見た時はがっかりしてしまった。


 届いた料理は皿一杯に大きなはさみがでんっと乗り。割られた殻の中に白い身と、黄色いミソが入っていた。


 同じ料理を先に頼んでいた客の様子をうかがうと。どうやら自分で身をほぐして、味噌をえて食べればいいらしい。


 まずはミソを少し食べてみる。あちらで食べたウニと比べると薄いけど、味はウニだな。身もカニと変わらないし、これで不味いわけがない。


 鑑定結果は★2だったけど、味付けはシンプルだったし。逆に言えばもっと美味くできるという事なんだろう。


 個人的にはカニ味噌で和えたいんだけど。カニの魔物はいないのかな?この大鋏の持ち主がカニの可能性もあるけど。海老の尻尾の持ち主のボスが落とすのであれば、ロブスター系の魔物だと思うんだよな。鋏の形もそっち系だし。


 それにしても、カニ(海老?)の身をほじりながらパンを食べる事になるとは。カニ味噌をご飯に乗せて食べた事はあったけど、身で米を食べた覚えが無い。


 大体身をほじくるのに必死で、その後に普通に食べてた気がする。


 ああ、ピザは別だ。あれはカニとパンじゃなくて、カニ入りのパンだからあれで単品だ。


 まぁ、相性は悪くない。強いて言うならウニの味がもう少し濃いといいのだけど。


 食事の後、以前に下着を作ってくれと頼んだ服屋へと向かう。まだそれほど日付は経っていないけど、下着ならそんなに時間はからないだろう。


「いらっしゃいませ。下着の試作品ができておりますが、ご確認いたしますか?」


「おお、流石はプロですね。仕事が早い」


 早速、奥へと通してもらい。机に並べられた物の中からビキニトップとオーバックを選んでリレッタに着てもらう。


 この部屋に来てから気が付いたけど。リレッタの尻に入れっぱなしで王都に来てしまった。


 装備品なのでこちらの世界では普通なのかも知れないけど、はからずも露出プレイをさせてしまっていたようだ。すまん、リレッタの中の人。


「なぜ前や後ろに穴を開けるのかと思っていましたが、装備品のためだったのですね。

 確かにこれなら効果を邪魔しませんし、少し手を入れれば男性用も作れそうです」


 自分は装備のために開けてもらったわけじゃないけど。使い道としては合っているのかな。でも、男性用の下着は自分の分はいらないよ?


 アクセサリーは、外に出さないといけないらしいのでズボンが履けないけど。スカートも履くのだろうか?


 前垂れとか後垂れのある鎧もあるから、あり得ないわけじゃないけど。間違ってもカンダタファッションで街を歩き回らないで欲しい。


 たまに見かけるんだよね。上半身裸で胸元にアクセサリー付けている人。


 上下の下着を身に着けたリレッタで、出来をよく確認して。問題が無いどころか、自分が考えていた物そのものが出来ていたので追加で注文を入れる。


 トップが3つで、通常の物が3つに、Tバッグが3つ、オーバックが3つだな。後は着せてみてから色合いなどを考えて発注しよう。


「色を気にされないのでしたら、その数ならご用意できていますので今お渡ししますね。試作品ですからもちろん料金は頂きません」


「ありがとうございます。では使ってみて色合いなんかが決まったら、きちんと発注させてもらいます。」


 数だけならもらった分で十分だろうけど。色は大事だからな。本人達の好きな色もあるだろうしちゃんと聞いておこう。


 これでウトラもカボチャパンツを卒業だな。また夜の活動が捗ってしまう。ヒールでそちらも回復するのかどうか実験が必要かも知れないな。


 臓器の酷使による傷は回復できるから、赤玉を撃つ心配は無さそうだけど。立ちはしても撃てなくはなりそうだ。


 服屋を出て、次は商人ギルドへと向かう。次のオークションの出品物を確認しに来たんだけど。いざ金があると踏ん切りがつかなくなるな。


 昨日の方が美人だったんじゃ?と思ってしまって、買う気になれない。


 間違いなく美人なので文句を言うのも失礼なのだが。金があると今度は、金貨100枚を超える美女を買ってみたいという欲が出てしまっている。


 装備の方も今一という結果で。欲の膨れ上がった哀れな自分は、パントにも会わずにギルドを出た。


 奴隷商会の方に行ってみようか。今はいなくても横の繋がりで噂話くらいは聞けるかもしれないし。

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