「総理会談前日譚」
「バニースーツがよろしいかと」
また秘書が訳のわからないことを言い出した。
「来週の総理との会談の衣装ですよ」
「いや、おかしいでしょ?」
笑顔で話す秘書に私は冷静にツッコむ。そう言えばそんな予定が入っていた。
「マスコミも入るのでしょ?イカれてると思われますわ」
私の言葉に秘書はため息をつく。
ムカつきますわ。
「市長、我が本宮は4年でここまで復興してきました。しかし、まだ不安定な状態です。食料品はもちろん生活用品、工業用品なども本国に頼らなくてはならない状況なのです。色々と思いはあるとは存じてますが今後の為にも今回の対談は成功させなくてはなりません」
長々と説明してくれましたがバニースーツは秘書の趣味ではないかと。
「……バニースーツはあなたの趣味では?」
「違います!私の趣味ではありません!本宮市民のためなのです!」
市民の為、私はこの言葉に弱い。あの4年前の出来事から私はこの街に全てを捧げることを誓ったのだ。お父様に代わって。
「わかりました。会談にはバニーで臨みます」
「市長!ご明断です!」
良いものをご用意いたしますと言う秘書の瞳はやたら輝いていた。
ムカつきますわ。
ー当日総理官邸ー
「着替えの用意を」
お気に入りのコーヒーを飲み終え立ち上がる。会談の時間が迫る。
「はい、こちらに!」
「……? チャイナドレス?」
秘書から手渡されたのはバニースーツでは無くチャイナドレスだった。しかもすっごいミニで布面積の少ない。
「秘書。どゆこと?」
「あ、私最近ミニチャイナドレスにハマってまして是非市長にw」
馬鹿みたいに笑顔な秘書が馬鹿みたなことを口走る。
「お前の趣味かーーーーーい!!」
渾身のツッコミが永田町に響いた。
会談には予定通りバニースーツで挑んだ。
秘書の思惑通りになるのは嫌だったので。
予想通りマスコミにはオモクソ叩かれたが、会談は成功をおさめた。
総理は終始笑顔だった。一緒に写メも撮った。
本宮は安泰である。
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