初カード戦


 電車の中で呼吸を整えていると、扉が開いた瞬間に後ろから押し出され、駅に降り立ち、そのまま電車を見送ることとなった。驚いて振り返ると知らない男が立っていた。

「急に何なんですか?」

相手の男に問うと、思いがけない言葉が返ってきた。

「おいガキ、おまえ、プレイヤーだろ」

しまった。動揺が顔に出てしまったか。

「プレイヤー?なんのことです?」

とりあえずとぼける一択だな。

「だって、おまえ解除してねーだろ?オーラがダダ漏れだっつーの。初心者君よぉ。さっさとカード渡せ」

オーラ?あのカード本物だったのか?

「なぜ見知らぬ人に渡さなければならないのです?」

「あ?渡さないってことか?」

「はい。無論そのつもりです」

すると、急に男が笑い出した。忙しい人だな。

「それなら仕方ねぇ。無理やり奪い取るまでだ!『Check 』!」

突然、男の手に拳銃が握られ、一瞬のうちに一発の銃弾が俺の頬を掠めた。

「次は外さないぜ。死にたくなかったら、さっさとカードを渡せ!」

やばいやばい。なんだよ、それ。とりあえず障害物のあるところに逃げるしかない。物陰に隠れ、警察に通報しようとすると、圏外になっていた。男は俺のいる場所が分からないようで、適当に辺りを撃っている。

「警察に通報しようとしたって無駄だぜ。圏外になってるだろうからな」

銃弾の音が近づいてくるのを感じる。どうする?弾切れを狙うか?いや、非現実的な状況なんだ。弾切れはないと考えた方がいい。大人しくカードを渡すか?いや、カードがなくなれば俺は用済みになり、殺されるかもしれない。

「俺のカードにもあの男のような効果があるんだろ?なんとかしてくれよ!」

心の中で力いっぱい叫んだ……。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る