第2話 体の違和感

夏の終わり、暑さが残る教室で突然めまいがした。熱中症だと最初は思っていた。そう思ってたのに、日々は重く、体調はどんどん崩れていった。 母に無理やり連れられるように病院で検査を受けた。全てが面倒くさかった。でも再検査から再検査へ、だんだん不安が膨らんでいく。 白い診察室、沈痛な医師の声。

「精密検査をしてください」

「お子さんの状態についてゆっくりお話ししましょう」

いつも優しい母が、その日ばかりは涙をこらえていた。 私は現実から逃げるように、ただ静かにその場に佇んでいた。 数日後、知らされたのは進行性の難治性疾患。難しい名前。 「早期の治療が必要です」

と言われ、私は身体よりも先に心が冷えていく感覚を覚えた。 明日も普通に体育と部活をして、家に帰ってリビングで皆と笑い合う… そんな当たり前の日々が、すでに遠いものだと気づき始めていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る