第1話 一年前の誕生日

午後の陽射しがリビングに広がる。

「優花、お誕生日おめでとう!」

母がケーキを運び、父が照れたようにカメラを構える。親友の梨花、桃花も早くから集まっていて、賑やかな声が家中に満ちていた。 ケーキには苺がたっぷり。ロウソクを吹き消すと、小さな約束が次々と口にされる。

「来年の誕生日は、もっと大きなケーキとお揃いのパジャマでパジャマパーティーね!」 桃花がはしゃぎ、梨花は

「優花のリクエスト全部聞くからね」

と笑う。 父も母も、それを聞いてにこやかに頷いた。 私は、未来は自分の味方だと信じて疑わなかった。疑うよしもなかった。その夜の夢の中でも、皆の笑顔はずっと続いていた。

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