第20話 新しい階段 

 理事長が敗れ、ヒエラルキー制度はついに崩壊した。学園の全ネットワークには、フィオナたちが公開した不正データと裏取引の記録が流れ、生徒たちの怒りは頂点に達した。

  翌日、学園は混乱の渦中にあったが、同時に新たな動きも生まれていた。

 「自治議会を立ち上げよう」

  祥子が提案すると、多くの生徒が賛同した。かつて上下に分かれていた生徒たちが、同じテーブルで未来について語り合う光景は、ほんの一週間前には考えられなかったことだ。

  拓馬は、かつての自分の居場所だった地下寄宿舎を訪れた。

  簡素なベッドと錆びたロッカー。ここからすべてが始まった。

 (もう、この場所に戻ることはないだろう)

  そう思いながら、静かに笑った。

  卒業式の日。

  スプロウツのメンバーは揃って壇上に立ち、自治議会の新体制発足が発表された。学園はランク制を廃止し、生徒一人ひとりが役割を選び、協力し合うフラットな制度へと移行する。

  式が終わった後、拓馬は桟橋に立っていた。朝焼けが水面を黄金色に染める。

  祥子が隣に立ち、微笑む。「これから、どうするの?」

 「旅に出るよ。経験を積むために」

  拓馬は前を見据え、拳を握った。「失敗をやり直す力じゃなく、未来をつくる力として再演を使う」

  祥子は静かに頷き、手を差し出した。「じゃあ、私も付き合う。新しい階段を一緒に登ろう」

  ふたりは手を取り合い、桟橋を歩き出す。背後には仲間たちの笑顔、そして新しい学園の未来があった。

  空には、どこまでも広がる青があった。

  それは過去の鎖から解き放たれた、自由そのものの色だった。

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学園ランククラッシャー ―再演(リフレイン)が導く階層逆転バトル― mynameis愛 @mynameisai

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