わいわい初心者ダンジョン殺人事件

妥当性

プロローグ

 今日は待ちに待った初のダンジョン探索の日だ。

 昨夜は全然寝れなかった。だけど今も元気いっぱい。


 ミラは再三持ち物を確認する。

 食糧、よし。ランタン、よし。巻物スクロール、よし。ダガー、よし。ロックピック、よし。

 さぁ、後は着替えて顔を洗って出発するだけだ!

 ……危ない危ない、ギルド発行のダンジョンの地図を忘れるところだった。昨夜机におきっぱにしたのを忘れていた。


 同室のキキとフィオはもう出発したようだ。彼女らはいつも朝が早い。

 ミラは、起こしてくれたらよかったのに、とふくれた。


 準備を済ませたミラは、勢いよく部屋から飛び出した。素早く部屋の鍵を閉め、音を立てずに宿の階段を駆け下りる。


「みんな! おっはよー!!!」


 焼き立てのパンの香りが漂う食堂で、テーブルに座っていた仲間たちが一斉にミラの方を向く。


「おはよー」「ふぁ、ふぁぁあ」「おはよう」「おふぁよぅ」


 ミラは仲間たちを見渡す。うん、みんな元気そうだ!


 剣士のキキ、僧侶のフィオ、魔術師のレナ、重戦士のシーナ、そして……盗賊である私、ミラ!

 うん、完璧なパーティーだ。思えば、道のりは長かった。故郷の両親たちの反対を押し切り都市に向け旅をして、冒険者ギルドに登録して、細かい依頼を積んでお金を集めて……そして、我々は今日、偉大なる道への第一歩を、踏み出すのだと!


「どうしたの? ミラ」


 レナが不思議そうに、突っ立ってニヤニヤしてるミラを見ていた。ミラは思わず顔を赤くする。


「な、なんでもない。さぁ! 会議を始めよー!」


「おー!」「はーい」「どうぞ」「ね、ねむい」


 このパーティーなら、絶対に成功できる!…よね?

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