第4話 薔薇
「あらぁ、かわいいじゃない」
家に帰って、母にパペマルのシバちゃんを見せた。
「本当に行くのね」
「うん」
「ま、頑張りなさいよ」
「ありがと。わたし、世界一のパペリストになるから」
母とはまだ微妙に確執があるが、応援してくれる気持ちはあるみたいなので感謝。
「その柴犬だけで冒険にでるのか?大丈夫?」
心配性なお父さんが声をかけてきた。
「うん。さっきバトルには負けちゃったけど。この子と一緒に頑張る」
「ちょっと頼りないなぁ。ミャー子の毛も採取したらどうだ」
「ミャー子はおばあちゃんでしょ。アニモデラーは、取り込んだその時の状態で3Dモデルを形成するのよ。若くできる機能があるならともかく、おばあちゃん猫を闘わせるわけにはいかないって」
「そうか。それなら!こっちに来なさい」
お父さんは何か思い付いたのか、手招きしながら庭に出た。
---
「これを見なさい」
父が手で示した場所には、何も動物がいない。
「何?まさか蟻とか言うんじゃないでしょうね」
「違う違う、この子だよ」
父がもう一度示した場所には、真っ赤な薔薇。
「え、薔薇?」
「そうだ。最新機種のアニモデラーでは、植物も取り込めると聞いたぞ」
「そうだけどさぁ」
植物なんて弱いし役に立たなさそう。
難色を示すわたしに、父は薔薇の葉を一枚ちぎって渡した。
「ほら」
「...うん」
減るもんじゃないし、いいか。
わたしはパペ瓶に薔薇の葉を入れて、アニモデラーに取り込んだ。
早速データを見てみる。
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薔薇
パワー -
スピード -
スタミナ -
こうげき
・いいかおりをだす
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「ステータス皆無じゃん!こうげきもなんだかよくわからないし」
「本当だ。まぁ癒しにはなるかもしれないぞ」
「それもそうだね。どうせこの後どんどん動物採取していくつもりだし、薔薇はお父さんからの餞別だと思っておくわ」
「うん、そうしてくれ。薔薇の名前はどうするんだ?」
「んー、ローズちゃんっ」
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