第3話 三毛猫
そこへ幼馴染のゲンキが登場した。
「へぇー、お前も旅にでるんだ?」
「な、なによ。文句でもあんの?」
「いや、どんくさいお前にパペリストがつとまるのかなと思ってさ」
ちょ、ちょっと。久々に会ったと思ったらなんなのよコイツ。
「てか、ひょっとしてあんたもパペリストに!?」
「当たり前だろ、ガキの頃から父ちゃんの背中見てきたんだ。俺も今日から旅に出る!」
「ふ、ふーん」
同志がいて少し嬉しくなったけど、顔に出したら負けなのでムスっとしておく。
「お前に適性があるか俺が見てやるよ、やろうぜ!パペバトル!」
テテーン!
わ、どうしよう。急にはじまった、初めてのパペバトル。
「い、いいわ。受けてたとうじゃない!」
「そうこなくっちゃ。俺の相棒は、こいつだ!」
シュピンッと音がして、ゲンキのアニモデラーから三毛猫が飛び出した。
「この子って...!」
「そう、うちのペットの小梅だ。今朝採取させてもらったんだ」
なるほど、被らなくてよかった。
というか小梅って、これまた渋い。
「そのパペマルの方の三毛猫は、なんて名前なの?」
「ミケちゃん!」
「なかなかいいセンスしてるじゃない」
わたし達のやりとりを聞いているおじちゃんは「はぁ」とため息をついている。
「わたしはこの子よ、シバちゃん!ゴー!」
すっと背筋を伸ばして、ミケちゃんの前に立つシバちゃん。
「よし!バトル開始!...と言っても、どうやってバトルするんだっけ」
焦るわたしにおじちゃんがやれやれという様子で教えてくれる。
「まずはアニモデラーで、シバちゃんの情報をみなさい」
そうだ、まずはシバちゃんの能力を把握しないとね。
えーっと、これこれ。
アニモデラーを操作するとシバちゃんに関するデータが出てきた。
---
柴犬
パワー ☆☆☆
スピード ☆☆
スタミナ ☆☆☆
こうげき
・かむ
・ぶつかる
・ほえる
---
なるほど、パワーとスタミナが高いのね。こうげきも申し分ない。
豪快な戦いができそうだわ。
「そっちからこうげきしていいぜ」
余裕の表情を浮かべるゲンキ。
「じゃあ遠慮なく!シバちゃん、かむこうげき!」
『はっはっはっ』
シバちゃんは舌を出して尻尾を振りながら、ミケちゃんに向かってテクテク向かっていった。
「ミケちゃん、ひっかくこうげきだ!」
『シャー!』
シュパッ
ミケちゃんの爪がシバちゃんの頭にクリーンヒットした。
『クーン』
「シバちゃん!」
パペマルになった動物からは血は出ない仕様になっているのだけど、認知機能に痛覚はあるようで、シバちゃんはすっかり怯えてしまった。
「シバちゃん頑張って!ぶつかるこうげき!」
シバちゃんはお座りしてしまって言うことを聞かない。
「ミケちゃん、いまだ!猫パンチ連打!」
ポコポコポコポコ
ミケちゃんの猫パンチがシバちゃんに襲い掛かる。
『クゥーン!』
シュポン!
すっかり戦意喪失してしまったシバちゃんは、自らアニモデラーに戻ってしまった。
「よっしゃ!俺の勝ちだな」
ゲンキがガッツポーズする。
悔しい。
パペバトルではパペマルが致命傷を受けるか、戦意喪失したら負けなのだ。
「じゃ、金くれよ」
「え?なに?」
「金、負けた方が勝った方に払うのがパペリストのルールだろ」
「がち?わたしお金もってない」
「アニモデラーに銀行を登録して通貨を入れておくんだ、ほらここにマネーの項目があるだろう」
横から口を出してきたのはおじちゃん。
あんた、止めなさいよね。
「まぁ、今回はゲンキが一方的に仕掛けたバトルだ、わたしがお小遣いを渡しておくよ」
「最初からそうしてよ」
いけない、またしても心の声が漏れてしまった。
完敗したわたしは、落ち込みながら一度家に帰った。
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